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    mame_cha_cha_ch

    @mame_cha_cha_ch

    基本おばみつですが、腐っているものもあります。
    ご注意下さいね。

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    mame_cha_cha_ch

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    関西弁話す🍃が見たい、に全力でお応え!
    理系×関西弁というコテコテ設定🤗
    あかすけさん🍎おたおめでーーす💞

    ##おばみつ
    ##ズッ友

    大阪ラバーな🐍(🍡)🍃「めっっちゃ、可愛い子おったんやけど……」
    「何やねん、急にィ」

    別棟の研究室から伊黒がやって来れば、開口一番これである。
    不死川は手元の検体に薬剤を塗布しながら、視線を外すことなく応じた。現在の時刻は13時。
    4時間後、8時間後、16時間後に採血で血中濃度を測定する必要があるからして、今夜も居残りコース確定だ。しかも明日は朝5時に研究室入りしなければならない。
    生物系ラボの悲しい宿命を負った身として、溜息は深く長く、友人の色恋話を聞いている余裕などないのだが。

    「ン。コレあげるわ」

    お汁粉ドリンクの缶を突き出し、伊黒は言った。コレを貰う代わりに話を聞けということらしい。長時間拘束型の研究室ではニコチン、あるいは糖分、もしくはその両方と切っても切れない関係になる。
    夜半に自販機前でこれを飲んでいると、ときを同じくして息抜きにやって来た伊黒は『そんな甘いもん、よぉ飲めんな…』と眉を顰め、煙草に火を付ける。不死川に言わせてみれば、そっちの方が百害だろと常々思っているが。
    不死川は黙って缶を受け取り、プルタブに手を掛けた。【応】ということだ。

    「……で? 何処の誰なん?」
    「分からん。けど、天王寺駅で近鉄大阪線の河内長野(かわちながの)行きに乗り換えてた」
    「うわっ、お前わざわざ途中下車して、乗り換え先確かめたん? 怖ァ」
    「しゃあないやろ。次に繋がる手掛かりはあるに越したことないんやし」
    「声は?」
    「……掛けれんかった。けど、また同じ電車に乗り合わせてもすぐ気付けると思う。髪色が特徴的やったから」
    「どんな色?」
    「桃色と黄緑色のグラデーション」
    「あ〜……それで近鉄大阪線やったら、その子、大阪芸大ちゃう?」
    「確かに荷物多かったな。そうかもせん」
    「美大生ってなんとなく派手なイメージあるやん? 知らんけどォ」

    説明しよう!
    関西人が結語につかう『知らんけど』とは、【何の証拠もないけど多分そうなんじゃない。違っても責任は取らんけど】という意味の、汎用性抜群の免罪符である。
    伊黒は白衣から人差し指だけを覗かせ、顎に添えた。何やら考え込んでいるらしい。
    作業しにくいだろうに、伊黒はオーバーサイズの白衣を好む。その袖口は試薬ひとつ付いておらず持ち主の人格を表したように潔癖な白さを保っていた。そんな神経質でマッドサイエンティストが似合うタイプの男が、まさか一目惚れとは。

    「美大なら宇髄にあたるのも手か。特徴的な見た目やし、顔が広い宇髄ならなんか知ってるかも」

    光明を得た伊黒は一気に表情を明るくした。

    「ってかァ、こんなとこで油売ってていいん?」
    「*クロマト流してる待ち時間やから大丈夫」

    今扱ってる化合物は検出に時間がかかると、伊黒が愚痴をこぼしていたことは記憶にまだ新しい。
    さっそく宇髄に連絡を取っているらしく、伊黒はスマホにこちこちと文字を打ち込んでいた。

    「伊黒も今日、夜遅くまで残ンの?」
    「せやな。不死川も?」
    「22時コース。夜メシ一緒に食べよやァ」
    「ええよ。早っ、もう宇髄から返信来た」
    「アイツ真面目に授業受けてへんやろ」
    「……え、ヤバ……」

    不死川はおもむろに液晶画面を覗き込んだ。
    『知ってるけど? 甘露寺蜜璃やろ?』とある。

    「知り合いやって。どうしよ……」

    呆れた。自分から宇髄に聞いておいて、今更臆病風を吹かすヤツがあるか。

    「どうしよもこうしよもないやろォ。連絡先交換して、会う約束取り付けろやァ」
    「甘露寺蜜璃って名前まで可愛いやん……」

    伊黒のときめきが四方八方に飛び交う。
    普段は冷静沈着を体現するような男であるのに、このザマなのだから恋とは恐ろしいものだ。

    「落ち着けって。一に連絡先交換、ニにデート」
    「で、でえと!? 初っ端から二人とか向こうも気まずいやろ。宇髄たちも誘って*たこパとか出来へんかな…そんときは不死川も来てや」
    「何でやねん」
    「休日のマウスの餌やり当番、一回代わるから!一生のお願い」
    「二人で海遊館なりUSJなり行って来いってェ。てか、その心配まだ早いやろ。まずは連絡先ィ」

    まかり間違っても同列に通天閣は出てこない。東京タワーの方が綺麗に決まってる。ちょっと立派な電柱と心得えよ。

    『連絡先知りたい。取り持ってくれへん?』
    そう打って、宇髄に返信。

    「ーーーーー!!!!」
    「なッ!?? 突然何やねん、ビビるやろがァ」
    「もう引き返されへんヤツや……」

    伊黒はそう言うとその場にしゃがみ込んだ。
    想像に難くないが、不死川は夕食の席まで友人の恋愛相談に付き合うことになる。
    たこパをして『めっちゃ恋してるやん…コイツ』となるのはもう少し先の未来。




    *注釈
    ①クロマト:高速液体クロマトグラフィー
    液体中の化合物を定性、定量分析する機械
    ②たこパ:たこ焼きパーティー


    あとがき
    🍃と🐍は缶詰めになる系の研究室が似合う〜👏
    🐍は有機化学系の研究室の設定。
    どっちかが下宿で、待ち時間などは家に転がり込んでテレビゲームとかしてても良き。
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