酒を飲む褪せヴァレの話 黄金樹の金色の葉が舞い落ちる夜
大量のゆでカニと聖杯瓶を荷物に入れバラ教会に向かう褪せ人の姿があった。
「ヴァレーさん居ます?今日も持ってきましたよ」
「下等…私の貴方ようやく来ましたね」
「誰がゆでカニ持ってきてると思ってるんだこの人は」
バラ教会の入口はヴァレーさんの定位置で、何故かいつも立ちながら聖杯瓶を飲んだりゆでカニを食べたりしている。座って食べろと言っても無駄な気がするので暗黙の了解で、ヴァレーさんの隣に座り、今日分の聖杯瓶とゆでカニを渡す。
どうも、と礼を言ったあとぷりぷりの身肉を少し見つめ口へとゆっくり運び食べ始める。
「やはり、このゆでカニ塩加減が絶妙ですね。聖杯瓶にも合う」
「ならず者が茹でるの上手いんですよ、俺がやるとなんか味が違う気がして」
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