まるでふわふわのパンケーキ「修行の旅に出て気づいたんです。探していた本当に大切なものはすぐ近くにあったんだということに……。どんな新しいスイーツよりも、あなたの作るチョコレートやクッキーやキャンディが、私にとっての究極のお菓子でした」
森の奥深く、木々に囲まれた小さな丘。
星の瞬く夜空の下で告げた言葉は、どう考えても最高のプロポーズだった。
天才パティシエを自称するパティにとっては、他のどんなものに称賛の言葉を贈るよりも、それが響くに違いない。そう踏んでアークは言葉選びをしたつもりだった。
パティもまんざらでもなさそうな顔をしていた。翌朝目を覚ますと温かくてふわふわの出来立てのパンケーキがテーブルにあったし、ビターなホットココアはパティがアークのために甘さを調整してくれたものであることは明らかだった。
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