Capteve小説昼は灼熱、夜は極寒の極限下の中、凍えぬようにおしくらまんじゅうで寝るのだが、生憎今日は同室の人が外泊でいない。そんなこんなで今日は珍しく奴…キャプテンの元を訪れる。
「寒いんで暖を取りに来ました」
『ママが恋しくなったかまあ入れよ。』
扉を開けるとそこにはベッドに腰掛けて読書をし考え事をするキャプテンの姿がある。
「キャプテン」
『スティーブ、お前は家族が死んで複雑な感情を捨てきれないのはわかるよ。』
「あのだから、キャプテン」
何かを勘違いしているのと明らかな子供扱いに苛立ちを覚える。
『まあ隣に座りな、いくらでも泣いていいんだぞ』
言われた通りに隣に腰掛けるといきなり頭を撫でられる。
『よしよし、辛かったよな。しんどかったよな。』
「やめてくれ、お前酔ってんだろ。」
ふとキャプテンが読んでいる本に目をやる。
「何だ…その本」
『眠れないなら読み聞かせしてやるぞ』
「いや…大丈夫…自分で読める…」
ぱっと見ただけで文字の多さに目眩がして固まってしまう。
「ええと…ごーいんぐ……」
『あ〜…やっぱ俺が読んでやるな…』
バカにしてんだろ、これくらいできるのに…いちいち鬱陶しい…ここで俺の怒りが頂点に達してしまう。
「もうやめろ本を読むのはお前はそうやっていつも俺にマウントを取ってくる俺が文字の読み書きが苦手なのを知っていて俺もう寝る」
毛布を被りそっぽを向く。
『ごめんよ、お前の反応がいちいち面白くてたまらないんだよ』
「俺はもう20にもなるれっきとした大人なんだ、子ども扱いしておちょくるのもいい加減にしてくれよ」
『大人になるのも大変なんだぜ一生子どものままでいたかったよ、てか俺のベッド奪うなよ用がないなら帰れよ』
「…いやだ」
『なんだよ、寂しいならそうだって言えよ』
「…」
黙り込んでると奴が毛布の中に入ってきた。俺より一回り小さいその肌は傷だらけでかなり痛ましい。という俺も昨日できた傷が今でもじんじんと痛んでいる。傷だらけの肌と肌が重なり合う。
『Steve、あったか〜い。流石若いだけあるな』
「なんだよ…」
『髪もツヤツヤだし、あったかいし、若いって良いことなんだぜなぁ、Steve』
優しく撫でられていたらいつの間にか夢の中にいた。
その日は死んだ両親の夢を見た。童謡を歌ってみせて上手だと褒められている夢、母親の手料理の夢などを見た。とても懐かしくどこか温かい夢だった。
子どもでいられたらよかったな…