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    えり〜

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    えり〜

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    怪文‼️すごく冗長になりそうなのでなんとなく2部に分ける これは前編
    分かりやすくモデルのゲームセンターが、ほんのりとモデルの大学があります

    (タイトル未定) 大講堂も閑散としてきた頃合い。徐に外へ出た彼は、まずは自分が思った以上に日が暮れている事に驚いてから、続いてポケットの中のイヤホンを耳にかけ、心地良さそうな顔をして歩き出す。低い音が良く響くものを選りすぐった甲斐がある、と彼はひとり微笑みと白い息を零した。
     平日もひとまず今日で終わり、その後の予定も特になし。そういう場合の彼は、最早意識するまでもないままに同じ行動をとる様になっていた。決まったプレイリストに家とは反対方面の地下鉄。終点で乗り換え。重めのキックに乗って流れる少年少女の歌声に酔いしれていれば、自然と目的地付近の駅へ降り立っていた。
     迷いの全くない慣れた足取りで東改札へ向かう彼の耳元で、ポコン、と、音楽を抑えつけるかの様に通知音が鳴る。改札を出た先の広場で足を止め携帯を見やると、そこには高校時代の友達からのメッセージ履歴があった。

    『久しぶり!元気してた?』
    『来週冬休みでそっちに帰るんだけど、一緒にWACCAしに行かね?お前のホームでやりたくてしょうがなくて!』

     「………………。」彼はふと目を逸らし、返信する事なく横の電源ボタンを親指で押した。イヤホンからは再びハードコアミュージックが流れ出し、彼は再び行く先へと歩を進めた。小動物避けのモスキート音をくぐり抜け、3分も歩けば、彼の目的地、”ホーム”は目の前だ。

    ✳︎

     息つく間もなく2階へ上がり、真っ直ぐ進んだ先の両替機へ向かう。音を立てて落ちてきた20枚の硬貨をサッと掬ってポケットへ突っ込み、彼は狭い路地状の道を進む。そして最奥で虹色の光が回り輝く4台の筐体────────ではなく、その手前の別種の筐体の前に荷物を置いた。
     バッグの中のポーチから取り出した手袋をはめ、イヤホンジャックをスマホから筐体側へと付け替えてカードを翳す。今月1日目のログインボーナスを受け取り、
    『【イベント情報】WACCAコラボイベント開催中!』
    「……っえ?」
    見ないふりをしていたものがいきなり目に映ったしまったかの様に、彼は咄嗟にその画面をスキップした。(今、まさかそんなコラボをしていたなんて…!)マスクの裏で強めに唇を噛みながらも、しかし彼はそのマップを選択し、先程電車の中で揺られながら聴いていた曲をプレイしていた。
     
     ……気付けば2時間程経っただろうか。彼は、─彼自身がハッとした頃には、もうそのマップを完走していた。
    「俺、何やってんだ…………。」 静かに呟いた彼は、何か思うところがあったのか荷物を背負い、ブースの奥へとゆっくり歩を進め始めた。
     彼は、進んだ先の少し開けた最奥角にあるベンチにそっとバッグを置き、辺りを見回す。右には『WACCA Reverse』と掲げられたカラフルな円状の筐体が4台、後ろには大きなポスターが2枚。左にはイベントの際に書かれた色紙、そして…遊びに来た人が自由に書き記すノートが置いてあった。彼はそのうちの最も新しい一冊を、手袋も外さず手に取り、パラパラとめくっていった。

    『WACCA楽しい〜!!』
    『イベントありがとうございました!また参加したい!』
    『◯◯ちゃん描いた!』
    そんな色とりどりの文字やイラストが並ぶ中、

    「…あった」
     彼はあるページで手を止めた。そこには、1ヶ月前に書かれた───彼自身のメッセージが残されていた。

    「20xx/11/△△ 中々スコアが伸びず辛い…頑張らなきゃな…」
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