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    autumn_autumn01

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    autumn_autumn01

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    なんで獅音と一緒に襲撃行ったのか考えてたやつです
    よく考えたら運転手プラスりんちゃん、運転手プラス獅音ちゃんセットかな?って思ったので没

    #蘭竜
    lanLong

    襲撃横浜天竺。自らを犯罪組織と呼びそれに相応しいだけの悪事を働く彼らは今、ちょっとした面倒事に直面していた。

    「獅音とオレで行けばいいじゃん」

    ことの始まりは薄い金髪に水色メッシュが入ったタレた目尻が特徴的な男、竜胆がこう言ったことによる。極悪の世代が軸となりできた天竺の中で、年の違う竜胆がいるのは蘭というモンスターブラザーの存在のせいだ。竜胆を決して離さない蘭のせいで二人で少年院に入ったためイザナに出会い今に至る。
    二人は天竺で作った赤い特攻服をわざわざ自分たちだけ黒にしてお互いが特別であることをアピールするだけでは飽き足らずどこかに襲撃に行く時、取引するとき、常に共にあった。そんな竜胆が蘭とは別の人物と共に襲撃に行くと言うのである。
    天竺幹部たちにとってこれはまさに晴天の霹靂であった。明らかに意識してやっている蘭と違い竜胆は無意識に、それが当たり前であるかのように蘭の傍から離れなかった。蘭以外と行動するという選択肢がそもそもないような奴だったのに。

    「獅音と行くぐらいならオレといけばいいじゃん」
    「東卍のやつらの顔分かんないだろ」
    「…じゃあオレが運転」
    「兄貴運転したことないじゃん」

    案の定竜胆が自分から離れることを許さない蘭が座った目で言う。蘭の纏う剣呑な空気に気付いているのかいないのか竜胆は残酷な事実を突きつけた。
    灰谷兄弟は二人ともバイクに乗らない。持ち前の才能とセンスですぐ乗れるようになるのだろうが乗る必要性がなかった。一声かければ車を出すやつらなどいくらでもいたし、運転してお互いに構えなくなるよりも後部座席でのんびりしているほうが性にあっている。
    蘭から発せられる薄ら寒い気配にいつ火の粉が飛んでくるか分からない獅音がこっそり部屋から退出しようとしたのを望月が止めた。防波堤がなくなるのは困る。

    「とにかく!兄貴とは行かないから!」

    そうこうしているうちに竜胆のトドメの一言が蘭に突き刺さる。反抗期真っ只中のようなその言葉に外野は兄離れする気になってしまったのかと身構える。本人に言うと拗ねるが弟分のような竜胆の、やっと芽生えた自立心は尊重してやりたい。が、蘭からの八つ当たりが凄まじいことになることが予想できてしまい、そのまま突き進め!という気持ちと今すぐ謝れ!という気持ちの間で揺れ動いていた。
    しかし蘭はピクリとも動かず放心している。竜胆のこの言葉はショックが大きすぎたらしい。竜胆はさっさと行こうぜ!と言いながら獅音の背中を押し東京へ向かった。置物のように固まる蘭は、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりにその場に放置された。

    順調に大通りを走らせ、東京にも大分近付いた時赤信号に引っかかった。せっかちな獅音が待ち時間の暇つぶしにと思い、どことなくしょげている竜胆に話しかけた。しょげるぐらいなら言わなきゃいいじゃんとはさすがの獅音でも言えなかった。

    「なんで急に別行動してんの」
    「…兄貴が」

    しばしの沈黙の後、バイクの排気音にかき消されそうな小さい声が届く。元々そこまで長い信号でもなかったから既に交差車線側の信号が赤になっている。獅音は竜胆の話に耳を傾けながらできるだけ静かにバイクを発進させた。

    滑らかに滑り出したバイクに、ぼんやりと浮かぶ高いビル群が瞼の端を掠めていく。もうそろそろ街中に入るから声も聞こえなくなろうかと言う時に、逡巡していた竜胆の言葉が耳に届いた。

    「兄貴が、最近イザナとばっかつるんでるから」

    そう言って獅音の特服の背中をシワになるんじゃないかという強さで握る。普段なら無意識に距離の近い竜胆にベタベタするなだとか服シワになるだろとか文句を言う獅音だが、今はそうではなかった。

    「ふっくく…つまりなんだ?寂しくなっちゃったのかよ竜胆ちゃんは」

    獅音は吹き出しそうなのを堪えるのに必死で文句を言えなかった。竜胆は僅かに震える獅音の声に気付いたのか慌てたように言葉を募らせる。

    「そんなんじゃねえし!前までは鬱陶しいぐらいベタベタしてたから気になっただけで」

    必死に放った言葉が墓穴をほっていることに竜胆は気付いていなかったようだが、獅音は当然込められた感情を正確に読み取った。それを嫉妬じゃなくてなんて言うんだよ!とついに堪えきれず吹き出した獅音の声がビルの隙間に吸われて行った。
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