真夏の喫茶店のどが渇いているんだ、と言ってクリームソーダを頼んだ君は十数年前と同じだった。
顔も雰囲気も着ている服もすべて違うけど、君らしいと思った。
喫茶店の中はエアコンがききすぎていて少し肌寒いくらいなのに、暑い暑いと繰り返されるつぶやきに苦笑した。
「暑がりも困ったもんだな」
「嫁さんに嫌がられるよ」
だろうな、と僕は頬杖をつきながら返した。
君は運ばれてきたクリームソーダのストローの端をかじって言った。
「お前、しないの」
「なにが」
「結婚」
僕は笑った。
「お前を見てるとしたくないよ」
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