さとそしandたまそう前提たまそしオメガバース.
壮五が車に乗りラジオ局に向かう姿を見届けると、環はαの濃厚なフェロモンを放った。これは威嚇ではなく、Ωを屈服させるためだ。
「おっさん。言っとくけどモロバレ。」
環は壮志に近づいた。
「…………ッ!この匂いは……まさか…………」
「そう、俺はα。」
壮志は環から距離を取り、逃げようとしたが既に遅かった。
「逃すかよ。」
環は壮志の腕を掴み、引き寄せた。
「やめろ!」
「いーじゃん。あんたと俺の仲でしょ?」
環は壮志の首筋に顔を近づける。そして息を吹きかけた。その瞬間、壮志の身体がビクンとはね上がった。
「んっ……」
「ふぅ〜、いい匂いするねぇ〜」
「離れろ……」
壮志は環を押し退けようとした。だが、力が入らないのか抵抗らしい抵抗にはなっていない。環はニヤリと笑った。
「あんたさぁ、俺に惚れてんでしょ?隠しても無駄だよ。」
「黙れ!私はお前なんかに興味はない!」
「嘘つけっての。じゃあなんでこんなことすんだよ。」
「それは……」
壮志は言葉を詰まらせた。環はその隙を狙い壮志の手を掴む。すると、壮志の顔はみるみると赤くなり、目がトロンとし始めていた。
「ほら、もう効いてきてんじゃん。あんたが俺のこと好きなの知ってんだかんな。」
「ちがう……そんなはずない……」
壮志は完全に発情していた。αである環に誘発されたのだ。
「素直になれって。俺もあんたみたいな美人好きだったし。今なら優しくしてやるよ?」
環は壮志を抱きしめ耳元で囁いた。壮志の口から甘い声が漏れ出す。
「んっ……」
「ほら、気持ちいだろ?楽になろうぜ?」
環は壮志の腰に手を当て、撫で回した。壮志は嫌々と首を振るが、環は構わず続ける。
「あっ……」
「おいおい、感じてんじゃねえか。やっぱり好きなんだろ?」
「ちがう…私には番が…」
「そいつより俺の方がイイって絶対言わせてやるから。安心しろって。」
「やめて……」
「大丈夫だって、すぐ忘れさせてやんよ。」
環は壮志の顎を持ち上げた。壮志の目からは涙が溢れている。
「助けて…さ…とし…」
「聡……ってそれ、そーちゃんのおじさんじゃん…。アンタ、自分の弟と番だったの?」
「違う……私はただ……彼に愛されなくて……それで……」
「ふーん。でも残念ながらそーちゃんは俺のものになる予定だから諦めな。」
「ダメだ……それだけは許さない……」
壮志は力を振り絞り、環を突き飛ばした。
「おっと、危ねぇ。まだ抵抗できるくらい理性残ってたか。さすがFSCのトップなだけある。」
「うるさい!お前のような奴にうちの息子は渡さんぞ!」
「そーちゃんはもう俺に惚れてるし、アンタのせいでそーちゃんの人生が縛られる必要はないの。もう解放してくんね?この状況、わかってんだろ。」
「お前などに息子を渡してたまるか!」
壮志は再び環に飛びかかろうとした。しかし、またもやフェロモンによって動きを止められてしまう。
「ぐっ……」
「もういい加減にしてくれよ……。これ以上邪魔すんなら俺にも考えがあるからな。」
環は壮志の前にしゃがみ込み、胸ぐらを掴んだ。そして顔を近づける。
「……ッ!」
「いい?よく聞けよ。これからそーちゃんは俺の言う通りに動くようになる。俺に逆らえなくなるんだ。わかった?わかったら返事。」
「わ……かり……まし……た……」
壮志は恐怖に怯えていた。環は壮志を解放する。
「じゃあ、まずは車に乗って。そこで全部話すから。」
「はい……」
壮志はフラつきながらも立ち上がり、車に向かった。環は壮志の後を追うように乗り込む。そして、運転席に乗り込んだ。
「よし、じゃあ出発。」
車はゆっくりと走り出した。環は壮志の様子を伺う。壮志はボーッとしていた。
「おーい、聞こえてんのか?」
「はい……わかりました……」
壮志の反応は鈍かった。環はため息をつく。
「マジかよ……。これじゃあ俺が襲ってるみたいじゃんか。早く正気に戻れっての!」
「すみません……」
「謝るのは後で聞くから!今は運転に集中して!」
「はい……」
環はアクセルを踏み、スピードを上げた。