ワーカホリック撲滅の真意地球時間 午前0:30
人工太陽の明かりはとうに消え失せ、代わりに無機質で冷たいLEDが煌々と照らすクロムの部屋に、突如ノックの音が響く。短く返事をして入室を促すと、開けられたドアの前に立っていたのは意外な人物で。
「まだ起きていたのか。こんな時間に何か用か?」
あまりにも意外で思わず口を突いて出た言葉は、咎める意志を持って発せられていたのなら棚上げも良いところだ。しかし言った本人は全く気付いていないし、言われた方も別に責められているわけではない事を理解しているので特に気にした様子もなかった。
「ワーカホリックの気配がして。」
起きているのが意外な男――もといバンジは、腕組みをしながら入り口に寄りかかり、少し考えるような素振りでクロムを見つめて答えた。いつもの眠た気な無表情のまま普段通りの調子で言われたが、内容は明らかに苦言だ。
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