光の中で自殺主義者が自殺を止める日
「やァ、織田作。今日が何の日か覚えてる?」
「……何か特別な日だったか?」
「全く。君は予想を裏切らないね。仕方ないからまた教えてあげる。なんと今日は、私の誕生日だよ。」
「ああ、そうだった。済まない。生憎そういう事を覚えられない質でな。今更かもしれないが、何か欲しいものは在るか?」
「何も要らないよ。ただ織田作が隣にいてくれれば、それで善い。」
「そうか。なら、ずっとお前の傍にいるよ。太宰。」
「聞いてくれ、織田作。昨日また死にそびれた。矢張り自殺というものは斯くも難しいものだね。」
墓前の前で自殺を語るなんて、誰かが聞いていたらなんて不謹慎なと思われるだろう。
だが、太宰はそんなことは気にしない。
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