儚き夢、散る想いと文豪ふと、目が覚めた。
少しだけ開いているカーテンの隙間から差し込む刺すような陽の光を期待しようにも、実際には光を目視出来ないことはおろか窓辺周辺は淡く照らされてすらいなかった。
するりと抜けるようにベッドから降り、カーテンを開ける。しゃあ、と小気味良い音を立てて顕になった外の様子は、あまり好ましいような雰囲気では無かった。空は青を失い、灰を敷き詰めた囲炉裏のような曇り空だった。いつもなら、それはそれで世界がどこか落ち着いた雰囲気になっているような気がして僕は嫌いではないのだが、今日ばかりは妙な胸騒ぎを覚えた。いつか、小さい頃に割ってしまった食器を思いだす。ぱりん、鳴り響く乾いた音に焦燥を覚えてしまうような胸の感覚にまるで似ていて、僕は眉を顰める。
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