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    kotori_baado

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    kotori_baado

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    してないけどこれからするし今までもしてたかもしれないギルシム

    ##幻影くん
    ##ギルシム

    「今戻った。周囲に敵らしき影はない」
    「おう、ありがとな。俺も薪に使えそうな木の枝はあらかた拾い終えたところだ。ちょっとばかし歩きにくいが、枝や食えそうなもんを見つけるのは、やっぱり森のほうが楽だな」
    空から降りてくるギルガメッシュに、シムールは目線を下に向けたまま応える。
    ダインヴェルク教会からの逃亡から数日。時折ギルガメッシュが上空で周囲を探り、その間にシムールが休息に必要な物資を調達するのがひとつのルーティンになりつつあった。
    あまり高く飛んでは逆に遠くから見つけられる可能性があるため高い木の先端ほどの高度までにしか行けないが、少なくとも敵が目と鼻の先にまで迫ってきてはいないというのが可視化できるのは、精神的に楽になるので続けている。
    「なあ、空を自由に飛ぶのってどんな感じなんだ?」
    「わからぬな。そなたも鳥に歩くことと走ることのの違いを問われれば、すぐには答えられまい?我が飛ぶのも、似たようなものだ」
    「そんなもんかねえ。ま、前半には同意だな」
    「生まれつき備わった機能ではないゆえ我にも飛ばぬ時期があったであろうが、あまりに昔のことだ。覚えていない」
    シムールは「はぁ」と相槌のようなため息のような声を漏らす。
    最初に聞いた本人も幼いころの記憶など全て詳細に覚えているわけがないが、ギルガメッシュの言うあまりに昔はおそらく桁が違う。出会ってわずか数日のシムールですら、ギルガメッシュの生きた時間が人間の一生の長さに収まる程度ではないと、肌感覚で理解していた。
    「飛ぶ感覚が知りたいのならば、我の言葉ではなくそなた自身が飛ぶのが早かろう。どうだ?」
    ギルガメッシュがゆっくりと腕と翼を広げる。それは間違いなくシムールを抱えて飛ぶという意思表示だ。これには誘われたシムールのほうが驚きに目を見開く。
    「おいおいそんな気軽に飛ばせていいのか?それに、そんなことして大丈夫なのかよ」
    「傷は十分に癒えた。我も翼も、そなた一人を抱えてしばらく飛ぶ程度はなんの問題もない」
    「そ、そうか。それじゃあ言葉に甘えるとするか。空を飛ぶのに興味はあるしな」
    ややためらいがちにシムールがギルガメッシュの腕の中に収まろうとすると、ギルガメッシュが想定以上の力で抱き込んできた。人を持ち上げようというのだから当然のことなのだが、やはり照れはある。初めて会った日にも長時間肩を貸し、それ以降も何度も恋人のような距離になっておいてだ。
    「では、飛ぶぞ」
    合図の声から一拍おいて、シムールの足の裏から地面の感触が無くなる。
    「う、お……!」
    跳躍の滞空時とも何かからぶら下がっているのとも違う奇妙な浮遊感がそこにはあった。他者の手で抱えられて飛んでいるのだからぶら下がっているのとは根本的に違っていないはずなのだが、それは自分の腕で捕まっていたり何かに支えられてずっと一点に留まっているものであって、こうしてただ無防備な姿で空中を移動するのはどうにも落ち着かない。
    それからもう一つ気になる点があった。跳躍や高所から飛び降りる時には着地のことを考えてどのように脚を構えておくべきか無意識に近い形で考え実践するのだが、こうして他者の力で優雅に空の散歩などするときはどうしておくべきなのかわからない。結果、シムールはただ重力に任せて脚をぶら下げていた。
    第三者から見ればだらしない姿勢でいるのだろうと思いつつ、自分は宙に浮くギルガメシュを見てそんな印象を抱いたことがないことに気づく。
    (こいつはただ佇ずんでるときも、移動に使わない脚の所作に気を使ってんのか。この姿で長く生きてきたのは伊達じゃないってことだな)
    「このようなことで敵に見つかるわけにはいかぬゆえ高度は低く、森の中を出ることもないが許せ。代わりに高さとは違った趣向を用意しよう」
    高度を上げながら、早歩き程度の速さで木に向かっていく。そして手を伸ばせば届きそうな距離にまで近づくと軌道を変え衝突を避ける。何度か繰り返してシムールが極端に怯えないことを確認すると、少しずつスピードを上げていった。
    「ははっ、あんた、こんな器用なこともできるんだな」
    「当然だ。空中で自在に動けねばただの的になる」
    「よく言うぜ。人間の銃くらいなら的になったって平気なくせに」
    スピードに緩急をつけ、時には急降下や急上昇も加えて空中遊泳を続けるうちに、ギルガメッシュは空への客人が満足げな顔をしていることに気づいた。徐々にスピードを緩め、やがて完全に制止する。
    「楽しめたようで、なによりだ」
    「ああ。自分じゃできない体験だったからな。なかなかのスリルだったが、久しぶりに嫌な緊張感は忘れられたよ」
    「窮地を完全に脱したならば、次は空高く、穏やかな飛行もすると約束しよう」
    「そいつは楽しみだ。ところでギルガメッシュ」
    シムールはギルガメッシュの胴に回していた腕を少しばかりずらすと、顔の近くの髪を撫でた。
    「あんた、吊り橋効果……って、知ってるか?」
    「知らぬな」
    「誰かと一緒に吊り橋みたいな危険を感じる場所にいるとな、恐怖で上がった心拍数を色恋沙汰の高揚感と誤解するらしいぜ」
    「我には楽しんでいるように見えたが、恐ろしかったか?」
    「いやあ楽しかったぜ。けど言ったろ?俺は小心者だってな。ついでに言えば、地に足がついてない時点でそれなりにドキドキしてた」
    一通り言い終えたシムールは、いたずらを企むような眼をして口角を吊り上げる。
    「それから命の危機を感じた男ってのは……子を残したいって本能が働くらしい」
    ギルガメッシュの髪をいじっていた手は彼の首に添えられ、引き寄せようとするかのようにわずかな力が込められた。
    「フッ、命の危機ならば、出会った時のほうが苛烈であっただろうに」
    「ははっ、違いない」
    短く笑いあった二人は、空中でそっと唇を重ね合わせた。
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    kotori_baado

    DONEギルシム
    ※ギル様の翼について捏造
    ※翼あるものマナー捏造
    ギルガメッシュとシムールがダインヴェルク教会からの逃走に成功して幾日か経った。
    ただ広い平野を行けば遠目からも発見されやすく、人里に入ればギルガメッシュの姿が人目に付き、記憶にも残りやすい。
    自然と二人は適度に見通しの悪い山岸や森を往くことを選ぶようになった。
    森の中、シムールは自分の少し前を進むギルガメッシュの翼を見る。
    ギルガメッシュは木の幹や枝に翼がぶつからないよう器用に適宜翼を折りたたみ、あるいは後方に向かって広げる。そして木々の間隔が広い場所では横に広げる。
    何度も目にした仕草だが、金属でできていると思われる羽の一枚一枚がぶつかり擦れて大きな音を立てるのを聞いたことがない。
    それ以前にどのように飛んでも翼をはばたかせることはないし、鳥ならばまずしないだろう空中での静止も当たり前にこなしている。
    鳥の翼の詳しい仕組みもよく知らないシムールには、人の手によるものだろう彼の翼の構造など想像することもできなかった。
    不意に後方で木の枝が折れる音がした。それにつられて振り返ったギルガメッシュは、シムールが自分の翼を見ていたことをようやく知ることとなった。
    「……我の翼が気になるか?」
    2070

    kotori_baado

    DONEしてないけどこれからするし今までもしてたかもしれないギルシム「今戻った。周囲に敵らしき影はない」
    「おう、ありがとな。俺も薪に使えそうな木の枝はあらかた拾い終えたところだ。ちょっとばかし歩きにくいが、枝や食えそうなもんを見つけるのは、やっぱり森のほうが楽だな」
    空から降りてくるギルガメッシュに、シムールは目線を下に向けたまま応える。
    ダインヴェルク教会からの逃亡から数日。時折ギルガメッシュが上空で周囲を探り、その間にシムールが休息に必要な物資を調達するのがひとつのルーティンになりつつあった。
    あまり高く飛んでは逆に遠くから見つけられる可能性があるため高い木の先端ほどの高度までにしか行けないが、少なくとも敵が目と鼻の先にまで迫ってきてはいないというのが可視化できるのは、精神的に楽になるので続けている。
    「なあ、空を自由に飛ぶのってどんな感じなんだ?」
    「わからぬな。そなたも鳥に歩くことと走ることのの違いを問われれば、すぐには答えられまい?我が飛ぶのも、似たようなものだ」
    「そんなもんかねえ。ま、前半には同意だな」
    「生まれつき備わった機能ではないゆえ我にも飛ばぬ時期があったであろうが、あまりに昔のことだ。覚えていない」
    シムールは「はぁ」と相槌の 2399

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