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    kotori_baado

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    kotori_baado

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    ギルシム
    ※ギル様の翼について捏造
    ※翼あるものマナー捏造

    ##幻影くん
    ##ギルシム

    ギルガメッシュとシムールがダインヴェルク教会からの逃走に成功して幾日か経った。
    ただ広い平野を行けば遠目からも発見されやすく、人里に入ればギルガメッシュの姿が人目に付き、記憶にも残りやすい。
    自然と二人は適度に見通しの悪い山岸や森を往くことを選ぶようになった。
    森の中、シムールは自分の少し前を進むギルガメッシュの翼を見る。
    ギルガメッシュは木の幹や枝に翼がぶつからないよう器用に適宜翼を折りたたみ、あるいは後方に向かって広げる。そして木々の間隔が広い場所では横に広げる。
    何度も目にした仕草だが、金属でできていると思われる羽の一枚一枚がぶつかり擦れて大きな音を立てるのを聞いたことがない。
    それ以前にどのように飛んでも翼をはばたかせることはないし、鳥ならばまずしないだろう空中での静止も当たり前にこなしている。
    鳥の翼の詳しい仕組みもよく知らないシムールには、人の手によるものだろう彼の翼の構造など想像することもできなかった。
    不意に後方で木の枝が折れる音がした。それにつられて振り返ったギルガメッシュは、シムールが自分の翼を見ていたことをようやく知ることとなった。
    「……我の翼が気になるか?」
    「ん、ああ。まあな。どうなってるのかと思ってな。悪かった。ジロジロ見られるのは嫌だよな」
    「気にすることはない。人の子の前に出れば当然奇異なものを見る目に晒される。恐怖や、嫌悪に近いものを向けられることも珍しくない」
    ギルガメッシュがわずかな時間黙り込む。仮面の奥にまるで自分の言葉を不思議がるような光が見えた。
    「それと比べれば……いや、比べるまでもなく、そなたからの視線は不快ではなかった。」
    「? それは……俺の視線に悪意がなかったか、俺たちが見知らぬ仲ではなくなったからか? いや、好意だろうと友人だろうと、嫌な時は嫌だよな」
    今度はシムールが首を捻る番だった。二人は初対面にして生死を共にする関係となったが、いくらなんでも失礼な態度を気にもしないほどの信頼関係があるわけではない。そういうものは一瞬の強烈な体験が作るのではなく、ゆっくりと時間をかけて築きあうものだ。
    「そなたはこの翼の構造に興味があるのだったな。触れてみるか?」
    「いいのか?気軽に他人に触らせていい物には見えないぜ?」
    「そなたならば悪意ある真似はせぬだろう。そのくらいの信用はある」
    「そこまで言われりゃ断るのも野暮ってもんだな。それじゃ、触るぞ……」
    シムールの手が恐る恐るといったような触れ方をする。一瞬指先だけ触れてからほぼ反射のような形で翼から離れ、それからゆっくりと指の腹でくりかえし翼をなぞっていく。
    触れることに慣れると、次第に手全体を使ってしっかり感触を確かめるような撫で方になっていく。刀を遣い、剣の道に生きるものとして刃を思わせる金属質のものに思うところがあるのか、興味本位だったはずの瞳は今では刀を見定めるような真剣なものに変わっていた。
    シムールがすっかり夢中になった頃、不意にギルガメッシュが口を開いた。
    「そういえばそなたには話していなかったな。この翼自体に触覚器官はないが、知らぬ間に破損せぬよう何かが接触した場所や強さは知覚できるように作られている」
    「は?」
    今度はシムールが口を開く番だった。出会ってから一度も聞かせたことのない、虚を突かれたような、間の抜けたような、とにかくあまり人には聞かせたくない声が出た。
    「いや、待て。てことはなんだ。あんた、俺がどんな風に触ってたのか全部感じ取ってたのか?」
    「そうだ。しかし問題はあるまい。感じ取ることができなくとも見ていればわかるものだ」
    「そりゃそうだけどよ!いや見てたって言うな!俺がどんな顔してるのかも見られてんだろ、改めて言われるとすげえ恥ずかしいぞ!」
    「我は楽しめたぞ」
    「そうだろうな!」
    じゃなきゃこんな長時間好きにさせてないよな!と唸るような言葉が出る。ついさっきまで畏れるような慈しむような眼をしながら翼に触れていた手は、今は顔を覆っている。
    「それから、同胞の間では許可なく他者の翼に触れることは極めて礼儀を欠く行動となる。そうあるまいが、我のような者に出会っても同じことはせぬように」
    「そうなのか!? おいおい、かなりベタベタ触っちまったぞ」
    隠されていた瞳が再び目の前の男を映す。くるくると表情の変わる男だとギルガメッシュは思う。
    「我はそなたに翼を触ることを許した。そもそも、これは我から言い出したことだ」
    まあ、そうだけどよ……とごにょごにょ呟く声がする。表情だけではなく声色も声量も様々に変わる面白い男だ。ギルガメッシュは思わず口元を緩めていた。
    「翼に触れることを許すのに本来意味など持たせることはないが」
    手をそっとシムールの頬に近づけ、嫌がらないことを確認したのちに包み込むように触れる。そしてそっと滑らせ、頬を、顎を、首筋を、そしてもう一度頬を。愛おしむように、慈しむように。繰り返し撫でていく。
    「我が許したのは、そういうことだ」
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    kotori_baado

    DONEギルシム
    ※ギル様の翼について捏造
    ※翼あるものマナー捏造
    ギルガメッシュとシムールがダインヴェルク教会からの逃走に成功して幾日か経った。
    ただ広い平野を行けば遠目からも発見されやすく、人里に入ればギルガメッシュの姿が人目に付き、記憶にも残りやすい。
    自然と二人は適度に見通しの悪い山岸や森を往くことを選ぶようになった。
    森の中、シムールは自分の少し前を進むギルガメッシュの翼を見る。
    ギルガメッシュは木の幹や枝に翼がぶつからないよう器用に適宜翼を折りたたみ、あるいは後方に向かって広げる。そして木々の間隔が広い場所では横に広げる。
    何度も目にした仕草だが、金属でできていると思われる羽の一枚一枚がぶつかり擦れて大きな音を立てるのを聞いたことがない。
    それ以前にどのように飛んでも翼をはばたかせることはないし、鳥ならばまずしないだろう空中での静止も当たり前にこなしている。
    鳥の翼の詳しい仕組みもよく知らないシムールには、人の手によるものだろう彼の翼の構造など想像することもできなかった。
    不意に後方で木の枝が折れる音がした。それにつられて振り返ったギルガメッシュは、シムールが自分の翼を見ていたことをようやく知ることとなった。
    「……我の翼が気になるか?」
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    kotori_baado

    DONEしてないけどこれからするし今までもしてたかもしれないギルシム「今戻った。周囲に敵らしき影はない」
    「おう、ありがとな。俺も薪に使えそうな木の枝はあらかた拾い終えたところだ。ちょっとばかし歩きにくいが、枝や食えそうなもんを見つけるのは、やっぱり森のほうが楽だな」
    空から降りてくるギルガメッシュに、シムールは目線を下に向けたまま応える。
    ダインヴェルク教会からの逃亡から数日。時折ギルガメッシュが上空で周囲を探り、その間にシムールが休息に必要な物資を調達するのがひとつのルーティンになりつつあった。
    あまり高く飛んでは逆に遠くから見つけられる可能性があるため高い木の先端ほどの高度までにしか行けないが、少なくとも敵が目と鼻の先にまで迫ってきてはいないというのが可視化できるのは、精神的に楽になるので続けている。
    「なあ、空を自由に飛ぶのってどんな感じなんだ?」
    「わからぬな。そなたも鳥に歩くことと走ることのの違いを問われれば、すぐには答えられまい?我が飛ぶのも、似たようなものだ」
    「そんなもんかねえ。ま、前半には同意だな」
    「生まれつき備わった機能ではないゆえ我にも飛ばぬ時期があったであろうが、あまりに昔のことだ。覚えていない」
    シムールは「はぁ」と相槌の 2399

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