◾︎ 椎名ニキ (人間)
空腹と脚の痛みで倒れてしまった燐音をたまたま拾った中学生。最初は自身を人間じゃない(人魚だ)と言う燐音に面倒な人を拾っちゃったな…と思ったものだが、次第に惹かれ愛するようになる。「アイドル」に報われない恋をする燐音に、自分にすればいいのにと歯痒い想いを抱く。車の免許を取ったらその時はいの一番に燐音を海に連れて行ってあげる約束をしていた。海に連れて行けないぶん少しでも海気分を味わわせてあげたくて、お風呂の水に塩を入れてみたり、バケツやアヒルなどのオモチャを用意したりした。(燐音には、そんなことしなくていいのにと嬉しそうに呆れられた。) 人魚である燐音のことを終始人間として扱うが、なんとなく人でないことはわかっている。ある朝起きると燐音はおらず、浴槽の水に僅かな泡が浮かんでいた。その泡こそが燐音なのだと、なんとなしに気づいてしまう。
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