愛しいはあなただけ/ヴィリティファ目の前にはテディベアと遊ぶ少年になったヴィリオ。見ている限り、記憶はないらしい。
出会った頃にはあんなにも頼もしくなっていたから、こんな姿が彼にもあったのだと微笑ましくもあるけれど――
(寂しい)
いつも笑顔を向けてくれる彼も、もうわたしのことは目に入れてくれないかもしれないと思ってしまう。
歳が近くなかったらわたしたちはもしかしたら番になれていなかったのかもしれない。
「なあなあ」
「え」
「アンタにもくまやる!」
ぐいっと押しつけるようにヴィリオが渡してきたのは白いテディベア。虹色のリボンをつけている。
「わたしにくれるの?」
「アンタに似てるだろ?」
「うん、ありがとう」
わたしだというテディベアを腕で抱えながら、彼の背丈に合わせて屈み、普段はヴィリオがしてくれるように頭を撫でた。
1901