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    はじめ

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    はじめ

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    流リョ
    "まだ出来てない世界線のリョ"が"🇺🇸で同棲してる世界線の流リョ"のところにタイムスリップする話

    #流リョ
    fluently
    ##流リョ

    sweet days はっと目を覚ますと広いベッドの上だった。窓からはやわらかい光をまとった朝の陽光が射し込み、フローリングに優しい斜光線の模様を作っている。
     視界に映る家具や時計の素材、色合いなんかが少し海外チックで、公共放送で流れるシチュエーションコメディの背景とよく似ていた。
    「…ん…ん~…」
     何度か目を瞬かせて意識を覚醒させると、やたらと高い天井が目に入った。どこだここ。明らかに自室とは違うこの状況を不思議に思いつつも、妙に落ち着いている自分がいた。その時だった。なに騒いでんの、とすぐ後ろから誰かのくぐもった声が聞こえたのは。
    「なにって、うおっ」
    そのまま勢いよく抱き寄せられ、胸のなかに閉じ込められた。ぎゅうと背中から抱き締められ、咄嗟のことに反応出来ない。さらにはその声にも匂いにもどこか覚えがあったので、余計にリョータの心をざわつかせる。
    「………る、かわ?」
    「…ん」
     その声は、紛れもなく、ひとつ年下の後輩そのものだった。不安げなリョータの覚束ない声に、流川は平然とした面持ちで目配せをする。
    「ん?」
    「流川なのか?」
    「…うす?」
     なんすか朝から暴れて。掠れた声がちょっと大人びていてドキッとした。大きな掌で頭を撫でられ、そのまま何度も髪を梳かれる。な、なんだこれは。その手つきの優しさに普通に混乱する。
     驚きのあまり振り払うタイミングさえも逃して呆気に取られてしまう。振り返った視線の先に寝転ぶ流川の明らかに大人の様相に動揺した。出会ったころよりもさらに精悍になった顔付きと色気を増した目元。隆起した喉仏を見るにつけ、思わず喉が鳴った。
    「お、おまえ、なにやって…」
    「なにって、なにも…」
     いつものことでしょ、と呟いたのちにリョータを認めると、見事に流川が目を見開くのでちょっと笑えた。
    「は、え?」
    「…んだよ、その顔」
    逡巡したように流川が何度か瞬きを繰り返した。珍しいこともあるもんだと感心しながら眺めていると、いくつすか、と聞かれた。素直に「十七歳」と答えれば、流川が口元を片手で覆う。いつになく驚いた顔で押し黙り、「うお」と失礼な悲鳴まで漏らす始末。
    「うおってなんだよ」
    「…いや、なんかちょっとちっちゃいなとは思ったんすけど」
    「は? ぶっ飛ばされてえの?」
    「………う、う~ん…」
    「なんで考えんだよ、そこはしっかり否定しろよ」
    「いや、それはそれで…」
    「それはそれでって、なに?」
     まあ、良いじゃないすか。そう言われてまた抱き締められた。胸いっぱいに包み込まれて息苦しい。それなのに、安心するから腑に落ちない。そのまま、耳のすぐそばで唇が震える。ちゅ、と触れるだけのキスと、軽い甘噛み。不埒な手が背中や腰なんかをさわさわと撫でるので、思わず叫び声が出た。
    「…ひ、あ、な、な、お前どこ触って」
    「…だめ?」
    「だめって、いうか、いや待って、な、なに、この状況。お前って本当に流川なの?」
    「うん」
    「うんって…」
    「現実す」
    「現実…」
     にしては、ちょっとリョータの想像を超えている。あの流川に体をまさぐられて、ちょっと興奮している自分に羞恥心が駆け上がっていった。流川の薄くて熱い舌がうなじの筋をなぞる。ぺろ、ぺろぺろ。先輩可愛い。正気では聞いていられないくらいのやらしい音とやさしい声、胸元を撫でる色っぽい手つき。え、あ、うそ、や、そんなとこ、さわんないで、ああでもちょっと気持ち良いかも。悔しいはずなのに、目の前がちかちかして何も言えなくなる。細くて長い指に愛撫されるたびに甘ったるい吐息が漏れた。にわかには信じられない状況に人知れずあたふたしていると、今度は壁側の方から「なにしてんだよ」とかさついた声がして心臓が跳ねた。
     しかしその声には、あろうことか聞き覚えがある。というか、まるで自分そのもので。
    「…流川うるさい、朝っぱらからなにして………って、は?」
    「…あ」
    「あ、じゃねえよ、なに、お前、男連れ込んでんの?」
    「は? オレがんなことするように見えますか?」
    「見えないから驚いてんじゃん」
     聞きようによっては一触即発の大修羅場みたいな状況で、今すぐにでも逃げ出したいひどく居た堪れない気持ちでいると、自分に似た声の持ち主が「てかオレじゃん」と剣呑な声で言った。そのまま流川に抱きついて、おはようのキス。あまりにも自然なのでつっこみすら追いつかない。
    「あ、やっぱそうすか」
    「やっぱってなんだよ」
     え、てか、若くない? 怖いんだけど。とまるで平然とこの不可思議な状況を受け入れる姿にいっそ瞠目めいた感情さえ沸き起こる。大人になるってこういうことなのか? いやいや待て、この状況、あの流川とオレがそういう関係? にわかには信じられなくて、盛大に顔を顰めてやると、大人の流川が「可愛いすね」と言った。
    「……は?」
    「その顔。オレ、嫌いじゃない」
    「…んなこと言われてオレ今後どんな顔して流川に会えば良いんだよ」
    「意識したら良いんじゃないすか」
    「はあ? あのさ、お前、すごいこと言ってんぞ」
    「はい。だから、ドキドキしといて」
    「…んだよ、それ」
     のちに恋人になるらしい、おそろしく顔の良い後輩は、大人になっても直視出来ないくらいにかっこよかった。悔しくて悔しくて堪らないのに、流川は何度も「可愛い」と言って、不本意ながらもリョータを喜ばせた。
     前途多難。いやむしろ、幸先よし?
     なんだこの状況。最悪。最悪。
     それなのに流川に触れられたところは、すべて全部熱くて甘くて、どこもかしこもじくじくとした。


    これは、高校生のリョータが元の世界へ帰ってからの話。
    「…あれ、オレだよな」
    「すね」
    「…これって夢かな」
    「さあ」
    「さあって」
    「たぶんあの人、オレが好きになった頃の先輩」
    「…ん? なんの話?」
    「で、いま目の前にいるのが、オレのことを好きになった先輩」
    「………言うようになったね、お前」
    「違った?」
    「………違わないけど」
    「でしょ」
     あと好きですよ、自分にさえやきもち妬いちゃう先輩。
     そう言ってこめかみに大人のキス。熱い吐息に悩まされる時期は、とうの昔に乗り越えた。
    「はあ、お前には敵わねえよ」
    「オレだって、先輩には敵わないっすよ」
     ずっと好き、あの頃からずっと、変わらず好き。
     痺れるような官能な声で囁くのは真っ直ぐな愛の言葉で。
    「………馬鹿」
     というリョータの精一杯の意地さえも溶かしていく。
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