清麿先生と水心子先生の話彼は太陽に向かって背を伸ばす向日葵のように真っ直ぐで、一生懸命な人だからずっと応援したくなる。
「……あれ。灯り、消し忘れたのかな」
ある日の深夜、目が覚めた清麿はリビングの灯りがついていることに気がついた。照明を消しておこうとリビングに向かうと水心子がテーブルに突っ伏して眠っていた。久々に彼のこんな姿を見た気がする。
「……論文の査読をしていたみたいだね」
床に落ちた用紙を清麿は拾い上げた。びっしりと英文が書かれてあり、ところどころに赤ペンで線が引かれてあり、走り書きのような水心子のメモが余白に書かれてある。
「なるほど。今回は和訳されていないものを読んでいたんだね」
テーブルには開きっぱなしの電子辞書と医療スタッフ向けの図書室で借りてきた医学書が数冊、積まれていた。
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