入れ替わり立ち代り01.現代ハディさんのところにおそらちびちゃん
「……ハディさん?」
寝ぼけ眼を擦って、コウが首を傾げる。
その身に纏った茶色いケープと、昨晩よりも小さくなった身体。よく知っているそれは、しかしずっと昔、それこそ此処に産まれる前の物だ。
きょろきょろと辺りを見回して、
「……ここ、どこ……?」
オフィスみたい、と不思議そうに言うコウに、ハディは、
「……夢を見ているんですよ」
「夢?」
「ええ」
「……ぼくの夢に、ハディさんがいるの?」
そういえばこの頃はまだ性別が決まっていなくて、一人称もぼくだった。懐かしいな、と思いながら、癖の着いた髪を撫でる。それを受け入れて、嬉しそうに目を細めるコウに、
「どっちでしょうねぇ」
その柔らかな頬に、指先で触れた。
(ハディさんに記憶があるので)
◆◆◆
03.保護所同伴(高校生軸)
「え、オウシはいかないの……?」
「聞いていないが」
そう返したオウシに、コウは目を見開いて、それからおろおろと口元に手を当てた。
オウシ達が高校を卒業してから、帰宅途中久しぶりに会ったので近況報告をしながら一緒に帰っていた途中の話だ。
どうやら明日、ハディとコウが出かけるらしいが、コウはてっきりオウシも行くものだと思っていたらしい。
どうしよう、と眉を下げるコウに、何か問題があるのか、と首を傾げる。
「だ、だって、デートみたい、だから……」
「……」
相手はそのつもりだと思うが。
そう思いながら、何も言わずに相槌を打っていれば、
「オウシも明日、一緒に行かない……?」
そう不安げに言うコウに、オウシは笑いを堪えながら了承の意味を込めて頷いた。
(デートに同伴するオウシさんっていう状況が楽しいなぁと。やるなら高校生軸かなぁと)
◆◆◆
03.ハディさんが女の子になった時の反応
まもらなきゃ。
その姿を見た時、真っ先に思ったのはそれだった。男性とは違う体つきと、普段よりも柔い雰囲気。こんなの見たらきっと、どんな男の人でも好きになってしまうのではないか。
そんな風に思って、ぎゅっと手を握る。
指先が細い。男の時だって綺麗な手をしていたが、また違う。しなやかな指先だ。
「コウ?」
「大丈夫、大丈夫だから」
不安に思ってるかもしれない。だからそう言って手を握れば、
「……コウ」
「うん」
「少し心細いので、抱きしめて貰ってもいいですか?」
そう言って眉を下げたハディさんに、もちろん、と頷いてぎゅうっと抱きしめる。
ふわり、と柔らかい香りが鼻を擽った。
(めっちゃごめんなさい)
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