お酒○レイハド
ハドバルはレイロフより弱かった。腕相撲も口喧嘩も剣の腕も、レイロフの方がいつも一歩先に行っていた。なのに今ではどうだ?ハドバルはいとも簡単にレイロフより大きくなり、強くなった。なんて事だ、とハドバルの手を借りて地面から立ち上がりながらレイロフは嘆いた。目の前の人懐っこく得意げな笑顔が憎らしい。血管の浮き出た硬い腕に支えられて、もう奴も立派な男なのだと思わずにはいられない。ああ、あの可愛かったハドバルが…
それでも、夜になればレイロフは上機嫌になった。
酒の香りにすら酔えるハドバルの、情けなくも愛らしい負け姿が見られるからだ。
昼間の出来事など忘れた金髪の酔っ払いは、あぐらの中にある茶髪を撫でながら、今夜も勝利のジョッキを傾けた。
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