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    ららら

    成人済 SDの🏄さんが一番好きな人
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    ららら

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    🏄さんと👓さん
    この2人は幼なじみだと嬉しいなという願望

    練習試合の帰り道。
    腹が減ったと喚く我等のスーパールーキーを宥めるべく入ったのは、神が友人から勧められたというラーメン屋。店内はポスターや写真が所狭しと貼られている、何とも賑やかな内装をしている。
    その中に青いクレヨンで描かれた丸っこいクジラの絵を見つけ、ふと小さな頃の出来事を思い出していた。
    「あ!何んスか?宮さん!嬉しそうな顔して!」
    「本当だ…クジラの絵?」
    目ざとく見つけてくる清田と神に問い詰められる形で喋ることになったのは、僕と牧の小さな頃の話。



    牧と僕が最初に会ったのは小学2年生。
    その時の牧は僕より小さくて、昼休みは図書館に行くことが多い、少し内気な少年だった。
    ただ、運動が苦手だったのかと問われればそうではなくて、球技よりマット運動や跳び箱等の身体能力が高くないと出来ない運動の方を楽しんでた印象があった。
    あれは多分、ドッヂボールもサッカーボールも大きくて上手く扱えず楽しくなかったんじゃないかと推測している。

    そんな牧と最初に話したのは、夏休み明けの席替えで隣になってからすぐ、牧が理科の教科書を忘れた為横付けした時だった。
    「ごめんね、ありがとう」
    「良いよ、気にしないで」
    それが最初に交わした言葉。
    授業中に困ることはなかったけど、牧がノートの端っこに色々落書きしてたのが気になって、授業が終わった後に思い切って聞いてみたんだ。
    そしたら恥ずかしそうに俯いて、笑わないでね…と小さな声で呟きながらノートを見せてくれた。
    そこには、少し線が歪だけど仲が良さそうに泳ぐシャチとクジラが描かれていて、思わず大きな声で褒めたんだよね。
    「凄い!牧くん、絵上手だね!」
    自分でも信じられない位の大きな声だったから、掛けられた牧の方はもっと驚いて目をビー玉みたいに丸くしてたのは、本当に可愛かったな。
    だけど、僕の大声を聞きつけたクラスメイトが何人も寄ってきちゃってね。僕みたいに上手いと褒めるヤツもいれば、授業中サボるなと咎めるヤツもいて。
    割合的に咎めるヤツが多くて牧が泣きそうになったもんだから、きっかけを作った僕も慌てちゃってね。結局、教室に残っていた先生が仲裁してくれたけど、注意されたのは牧だけでさ。
    次が体育だったから着替えや移動で牧に謝りそびれて、その後も気まずくて話せないまま次の席替えで牧とは席が離れたんだ。
    それ以降何となく話しかけ辛くて、結局殆ど話せないまま、3年生の時は別のクラスになったんだ。

    僕は謝れなかったのがずっと心残りで、いつかそんなタイミングが現れないか…って思いながら、登下校とか移動教室の時に牧を探してたら、気がつけば目で追うようになってたんだ。
    3年生の時は、休み時間は外に出てクラスメイトと遊ぶようになってて、夏休み前から日焼けしてた。
    4年生の時は、身長が伸び始めて整列で後ろの方に並ぶようになってた。
    5年生の時は、近所の1年生の手を引いて登下校するようになってた。
    どんどん外見も振る舞いも大人っぽくなっていく牧を純粋にカッコいいなと思ったし、あの時謝れなかった僕はずっと子どもで情けないなって気持ちは今でも覚えてるよ。

    そして、6年生でようやく一緒のクラスになれてね。クラス分けを見た時から2年生の時の事をちゃんと謝ろうと決めていたから、始業式の日の終礼が終わったら直ぐに牧の席へ駆け寄ったんだ。
    「牧君…あの、僕…2年生の時、ごめんね!」
    唐突に謝られた牧は何の事か分からないと顔に書いていて、それを見た僕は急に恥ずかしくなるわ、当時の混乱をぶり返すわで、もう目も当てられない状態。
    それでも兎に角謝りたくて頭を下げたんだけど、運の悪いことに机の角に勢いよく額をブツけちゃってさ。
    帰り支度を始めて賑やかだった教室が一瞬で静かになって、痛みで蹲る僕を見たクラスメイトには、牧が僕を泣かしてるように見えたみたいで、一気に牧が非難を浴びてしまったんだ。
    「え?!義君どうしたの?!」
    「牧〜、弱い者いじめすんなよな〜」
    誤解を解きたいのに、額は痛いし生理的な涙も止まらなくて固まってしまった僕を牧は気遣ってくれた。
    「ごめんね、宮益君。歩ける?保健室、いこう?」
    自分は何も悪くないのに謝罪してくる牧に申し訳ないと思っても、クラス中から騒ぎ立てられながら教室を出るしか僕は出来なかった。
    保健室に着くと、先生に状況を説明した牧は「僕は居ない方が良いと思うので…」と教室に帰ってしまったんだ。

    あの時と同じだ…。
    そう絶望してしまった僕は、今まで生きてきた中で一番大声を出して泣いたなぁ。もう、自分が不甲斐なさ過ぎて。
    落ち着いてから保健室の先生に事実を伝えて、担任の先生にも説明に行った後に教室に戻ったら、カバンの下にノートの切れ端が敷いてあったんだ。
    牧に嫌われたと思ってたから、決別の手紙かと思ってさ。何度も何度も深呼吸をして、目を瞑って息も止めて、意を決して抜いたその切れ端には、あの時よりもっと上手くなってるクジラが描かれていて、今度は声を殺して泣いたっけな。

    それからはよく覚えてないんだけど、気が付いたら牧の家に謝りに行ってたんだ。
    牧も牧のお母さんも戸惑ってたけど、優しく迎え入れてくれた。
    部屋に通された時に牧の目が赤くなっていることに気が付いて、もう罪悪感で溺れそうだったよ。
    「牧君…何回も嫌な思いさせて、ごめんね」
    僕はまたワンワン泣いてずっとしたを下を向いていたんだけど、牧のお母さんに慰められながら顔を上げたらさ、牧も泣きながら謝ってたんだ。
    「僕こそ、ごめんね。宮益君がせっかく褒めてくれたのに、素っ気なくしちゃって…嬉しかったのに、お礼を言えなくてごめん」
    「え、でも…僕が大声ださなかったら、牧君先生に怒られなかっのに?」
    「落書きしてた僕が悪いんだから、怒られて当然だよ。それに、宮益君が僕の絵を褒めてくれたのが嬉しくて、怒られてもぜ〜んぜん怖くなかったよ」
    「…そうだったんだ…よ、良かったぁ〜」
    驚いたよ。牧は僕の事を最初から怒ってなかったんだ。お互い謝る勇気がなかっただけ。僕はその時から、思ってるだけじゃ駄目なんだって事を肝に銘じたよ。
    そして、その日は牧の家にお泊りさせてもらって、翌日は僕の家に牧が泊まりに来たんだ。
    色々話したよ。好きな食べ物とかテレビとか自分が楽しい、嬉しいって思う事を沢山話したんだ。
    その時、牧は海で泳ぐのが好きで、クジラやシャチ、イルカと一緒に泳ぎたいって夢がある事を教えてくれた。僕は家族ぐるみで天体観測が趣味だったから、いつか大きな望遠鏡を手に入れて未発見の惑星を見つけたい、とかそんな話をしたんだったかな〜。


    「……っていう感じかな。以上、僕と牧の小学校の思い出でした」
    「うぉ〜〜〜!牧さん、小学生の時からかっけえ〜!!!宮さんも、自分から謝ってめっちゃ偉いじゃないっスか!!」
    「内気な牧さん…宮さんより小さい牧さん…」
    性格の違う後輩は双方違った感想を持ったようだが、間違いないのは牧への好感度が更に上がった事と、興味関心事が増えたことだろう。
    「良いなぁ〜俺も牧さんや宮さんと同じ年に生まれたかった〜!」
    「でもさ、それだと今みたいに可愛がって貰えないよ?後輩の特権じゃないか」
    「え、それも嫌だな…。あ〜っ、宮さん得意気ッスね!同級生、良いなぁ〜!」
    信長は大盛りのラーメンが運ばれて来ても尊敬する大先輩への称賛は止まらず、最終的には神が餃子を口に放り込んで物理的に止めさせる始末。
    明日の部活で牧に駆け寄って根掘り葉掘り聞いている姿が想像に容易く、これは牧に怒られるかもしれないなと思う口元は緩んでしかたない。
    そう思いつつ、帰ったら久しぶりに鍵付きの引き出しを開ける事を決め、勢いよくラーメンを啜るのだった。
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