涙どれくらい寝ていたのか薄く目を開ける。
薄いカーテン、のっぺらぼうな天井、硬いベッド。
あぁ、私は倒れたのか。
記憶を辿ると視界がぐにゃりと曲がった景色にたどり着き、ここが病院だと知る。
ふと隣に目をやると誰かが座っている。
「…たける?」
白衣姿の端正な顔の男がはっと目を小さく見開いてこちらを見た。
頬に涙の跡がある。
「ここ、健の病院だったんだね、ごめんね。」
まだ力が入らずに少し小さく震える手を伸ばしてそっと彼の頬に触れる。
それを覆うように彼の手が重なり、またポツリと涙が落ちた。
「無理しないでって言ったでしょ。」
コツンと優しく額同士がぶつかる。
「ごめんね、心配させて。で、でも今回はそんなに疲れてなかったんだよ、だから…」
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