「この金額で、ひとまず五年ほど君を雇いたいんだけど」
「ロドスは算数も出来ない人間を指揮官に据えていたのか?」
この男の肩書がひとつ失われる瞬間に居合わせるなど、以前の自分には想像だにしえなかっただろう。ロドスという会社はその役目を終えた。根絶など不可能と思われていた病はその治療法の突破口が発見され、今では各国企業がより性能の良い治療薬の開発にしのぎを削っている。傷だらけの理念は形を変えることなく広く受け継がれ、彼らの旗印は忙しく各地を飛び回っていた。その手に必要なのはもはや銃や剣ではなく知識と交渉のための人脈と通信インフラその他諸々。
ロドスという会社は確かに世界を変えたのだろう。そしてロドスにもまた変化が必要な時が来たのだ。
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