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    Hyiot_kbuch

    @Hyiot_kbuch

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    門+南
    突貫で書いたパンツの日

    コンビニにパンツ買いにいく話「なぁ南方今日泊めて」
     門倉と二人、初めて南方の家での飲んでいるこの日。まだ電車も動いているような時間にも関わらず門倉がそんなことを言う。
    「なんでまた。まだ全然帰れる時間じゃろ」
     南方がそう疑問をこぼすのも真っ当なことだろう。酔っているのかと思うも、飲んでいる酒量は飲み始めてさほど経ってないのもありいつも店で飲む量よりまだ少ない。そもそも門倉が酔いつぶれるほどとなると南方自身もへべれけとなるような量を飲まないといけない訳なのだが。
    「なんか帰るんたいぎいなて思うて」
     面倒というただそれだけの理由で宿泊を決めたと聞いて南方は小さくため息をつく。門倉らしいといえば門倉らしいが突然泊める方の身にもなって欲しい。
    「ええけど大したもてなしは出来んぞ」
     どうせ断ったところで門倉が素直に聞くわけがない。そう思った南方は門倉を泊めることについては首を縦に振る。それを見た門倉は満足気に笑うと追加で更に要求を突きつける。
    「あと風呂と服もなんか貸して」
     確かにサイズは門倉と南方、ほぼほぼ同じであろう。断っても門倉が勝手に借りるだろうことは想像に難くなく、何処までも図々しいお願いに呆れる。再度出たため息と共に妥協できない点だけ南方は告げた。
    「……流石にパンツは貸しとうないから買うてこい」

     そうしてコンビニへとパンツを買いに行くことになったのだが他にも買うから荷物持ちをしろという門倉の鶴の一声で南方の同行が決まった。財布に携帯と家の鍵といった必要最低限だけ持ってコンビニへと向かう。
     マンションの一階にコンビニがあるというのもありすぐに到着した。軽快な入店音が鳴り自動ドアが開けばやる気のないいらっしゃいませとの声に迎え入れられる。
    「たちまちパンツじゃろ」
     目的を忘れて直ぐに酒やつまみのコーナーへ行きそうになる門倉を衣類の置いてあるコーナーへと連れていく。あるのはトランクスとボクサーのみ、色も各一色ずつという最低限の品揃えだ。
    「どっちがええん?」
    「ワシはボクサー派じゃ」
     そう尋ねると門倉は黒のボクサーパンツをひとつ手に取り近くにあった買い物カゴに投げ入れ、南方にそのカゴを手渡す。
     渋々南方はかごを受け取ればそのまま弁当や惣菜のコーナーへと向かう門倉を追いかけた。
    「夕飯時過ぎとるけぇ少ないわ」
     なんて言いながらつまみになりそうな惣菜類をカゴへ追加していく。そのまま酒コーナーへと歩いていけばお気に入りのビールを数本と気になった缶チューハイやらハイボールやらを手当り次第入れていく。そうやって門倉が入れるものだからどんどん重くなるカゴをしっかり持ち直しながら、南方は苦言を呈した。
    「そがいに買うても飲みきらんじゃろ」
    「酒はすぐに腐らんけぇ次ワシがきた時に飲めばええ」
     確かにそうだけどもと丸め込まれそうになったところで次という言葉が引っかかる。門倉はどうやら今後も南方の宅で飲みにくるつもりらしい。
    「ワシの金で買うたるから勝手に飲むなよ。またそのうち飲みにきたるけぇの」
     到底一晩で飲みきれない量の酒の缶がはいったカゴをみて気が済んだのか門倉がニンマリと笑った。

     結局あの後、アイスとレジ横のホットスナックまで買って家へと戻ってきた。コンビニから家までの距離が短かったとはいえ、無遠慮に買われた酒の缶の重さでビニール袋が手にくい込んだ痕が地味に痛い。
     酒を冷蔵庫へしまう南方を他所に門倉は早速気になった酒を片手にホットスナックをかじっていていいご身分だ。傍らにはすぐにでも風呂に入る気なのか先程買ったパンツが置いてある。
     酒をしまう手を止めないままふと気になったことを門倉へ問う。
    「ちゅうかそのパンツ入るんか?」
    「んーXLの選んどるけど入らんかったら南方の貸して」
    「嫌じゃ」
     確かに南方のであればサイズは問題ないだろう。しかし誰であろうと下着の貸し借りをするのは何となく嫌だ。そこだけは頑なな南方に流石の門倉も諦めたらしくそれ以上は特に言ってこなかった。

    「ほいたら、風呂貸して」
     ようやく冷蔵庫に酒を入れ終えた南方が新しい缶を開けるより早く、自分の分のホットスナックをぺろりと平らげ、酒の缶をひとつ空けた門倉が新品のパンツ片手に南方へと言ってくる。ようやく腰を落ち着けて飲めるかと思った矢先にこれだ。
    「そこの突き当たりの右側に風呂ある。石鹸とかは適当に使い」
     それだけ言うと南方は貸す服を取りに寝室へと向かう。クローゼットから適当にTシャツとハーフパンツを手に取ると脱衣所へと置いて声をかける。
    「着替え置いとるけぇの。あとタオルも出しとるの使い」
    「おん、ありがとー」
     シャワーの音に混じっての礼に口元が緩む。なんやかんやで門倉のいうことを聞いてしまうのは惚れた弱みなのだろうか。
    「次わしも入るけぇはよ済ませろよ」
     二人とも風呂が終わったら飲み直しだ。

     そうして結局明け方まで飲んでソファで寝落ち、翌日の昼までくだぐだとした後に門倉は帰っていった。
     南方は門倉を見送ると一晩飲んで多少荒れてしまった部屋を片付ける。洗濯機も回していたのだったと洗い終わった衣類を取り出すと、その中から門倉のパンツが出てきた。仕方なく南方は自分のパンツの隣へと干す。洗ってしまったしそれなりのブランドのパンツに勝手に捨てる訳にも行かないと保管することにした。
     何となくパンツを置きっぱなしにしているうちに門倉が飲みに来てまたパンツを置いて帰るを繰り返すようになるのも近い未来の話だ。
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