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    きもいき

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    天陸 SDVX

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    きもいき

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    天陸です。こんなに書いてたんだなって思ってます

    #天陸
    tianlu

    無題「陸…ボクね」
    天にぃがコーヒーを一口だけ飲んだ後。
    ふわりと微笑んで、オレに言った。
    「好きな人、いるんだ」



    今日は久しぶりの天にぃとのお出かけの日!
    いつもより着ていく服に気を使ったり。久しぶりだからか、天にぃに会えるのがすごく嬉しかった。

    「壮五さん、この服どうですか?」
    いつも天にぃと出かける時の服は、壮五さんに一度聞いてから決めるんだ。
    「わあ!陸くん、すごく似合ってるよ!いつもより凝っててすごくかっこいいね。」
    「ありがとうございます!!壮五さんは明日ロックバンドのライブがあるからお忍びで行くんでしたよね?楽しんできてください!」
    「わ…覚えててくれたんだ。ありがとう、楽しんでくるよ。」
    壮五さんは陸くんも楽しんできてね、と言ってくれた。

    次の日の朝。
    ファンの子からの手紙を読んでいると、いつの間にか出かける時間になっていた。
    オレは誕生日に一織に貰った時計をつけて部屋を出た。
    ガチャ、
    部屋に戻ろうとしたのかはわからないけど、一織が扉を開けたらすぐそこにいた。
    「七瀬さん、もう行かれるんですか?」
    「うん、そうだけど…ってなんかもうすぐオレが死ぬみたいな言い方しないでよ!?」
    「あ、すみません。この前演じたキャラクターが抜けてなくて。……七瀬さん、事故とか、気をつけてくださいね。行ってらっしゃい」
    ありがとう、行ってきます、と伝えると、一織は環の部屋へと向かった。
    なるほど。環に勉強を教えようとしてたのか。

    オレは寮を出て駅に向かい、約束の場所へ向かうと天にぃがいた。
    「天にぃ!!」
    「陸、時間ぴったり。偉いね」
    天にぃに褒められると嬉しくなる。
    昔に戻ったみたいで。
    「…陸、その腕時計」
    天にぃはオレの腕時計を指さした。
    「え?…あ、これ一織に貰ったんだ!」
    へえ。天にぃはなぜか不機嫌そうにそう言った。
    「陸、行こう」
    「うん!」

    それからカフェで軽食をとったり、ブランド店で服を買ったりした。
    水族館を最後までまわって、お揃いのキーホルダーを買って、時計の針が6時を刺した頃。
    天にぃに夜ご飯食べに行こうか、と言われた。

    天にぃは店を決めていたみたいで、連れられた店はオムライス専門店だった。
    「わぁ…すごいお洒落なお店…!」
    店内に入ると、海外ロケで行ったことのあるイタリアン専門店みたいで少し緊張した。
    「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
    店員さんも綺麗で、まるで店全体がショークラブみたいだな、と思った。
    「2名です」
    「かしこまりました。空いている席に担当スタッフがご案内しますので少々お待ちください。」
    天にぃが動いたからか、ふわりとシャンプーの香りがした。
    「天にぃ、ここ来るの初めてなの?」
    「初めてじゃないよ、ちょっと前に九条さんと来て、美味しかったから陸にも食べて欲しかったんだ」
    そうなんだ、九条の名前が出て、なんだか嫌な気持ちになった。
    オレだけを見ててほしいのに。
    …え、オレ、なんでこんなこと…考えてるんだろ……?
    「お待たせ致しました。あちらの窓辺の空いている席にお座りください。」
    「はい、ありがとうございます」
    天にぃはオレの手を引いて、一番夜景が綺麗に見える席に座った。
    「陸、何にする?なんでもいいよ」
    「え、えっとね…、あっ、この普通のやつ美味しそう…!!あ、でもこれも…!!」
    ゆっくり選んで、と言うと天にぃはメニューを見始めた。

    選び始めて17分、やっとオレの食べるオムライスが決まった。
    やっぱり一番最初に美味しそうだと思った、ふわふわの卵とトマトケチャップを使ったオムライスにした。
    店員にメニューを伝えると、天にぃはオレの指に自分の指を絡めてきて、恋人繋ぎをした。
    天にぃ、ちょっと楽しそうだな……
    「陸、今日すごい楽しそう。何かあった?」
    「あ、えっとね…天にぃと出かけるの久しぶりだったから、…はしゃいじゃった」
    天にぃは少しだけびっくりしたみたいで一瞬真顔になってたけど、すぐに幸せそうに微笑んで。
    「ふふ、陸ったら。はしゃぎすぎ♡」
    なんて言った。
    オレは天にぃの目の前で直接ファンサに当たってしまい、なんだか耳が熱くなるのを感じた。壮五さんだったら倒れてると思う。
    九条天に惚れないヤツはいない、いつか誰かがバラエティ番組で放った言葉は本物だった。

    オムライスを食べ終わって、そろそろ天にぃに帰ろうか、とオレから切り出そうとした時。
    天にぃは真剣な顔で、
    「話したいことがあるんだけど」
    と言った。

    「陸…ボクね、好きな人がいるんだ」
    「え…」
    天にぃの、好きな人。
    オレが一番だと思ってた。
    天にぃは、オレが一番じゃなくなったんだ。
    あはは…、そっか。そうだよね。
    オレはずっと、天にぃの一番でいたかったんだな…
    「でもその人はボクのことを、そういう意味で好きじゃないんだ」
    「そっか」
    「だけどその子は、ボクのことが大好きなんだ。誰よりも、ボクのことを愛してくれてる」
    天にぃは幸せそうに言った。
    いいな、その子は天にぃに愛してもらえて。
    「……ねえ陸、わからない?ボクが言ってる好きな人」
    「え?わかんないよ、オレなわけないし」
    「はぁ…陸って鈍感すぎるんだよね。ボクの弟っていう自覚、ちゃんと持ってよ」
    店出るよ、天にぃはそう言ってオレの鞄と自分の鞄を持った。
    支払いは忘れずに。
    「ちょ、ちょっと待ってよ天にぃ!!どこ行くの!!?」
    「は?……決まってるじゃない、ラブホ行くんだよ」
    ラブホ…???
    オレとは一生無縁だと思っていた物の名前だった。
    「…ラブホって、あれだよね、その…」
    「うん、セックスするとこ」
    もう見えてるよ、と笑顔で微笑んだ兄は、違う人にしか見えなかった。


    ホテルの部屋に着くと、天にぃがオレのことをベッドに押し倒した。
    同性に、しかも兄に押し倒されるなんて思ってもみなかったし、逃げなきゃ、と思ったけど逃げ方もわからなかった。
    「陸……抱いていい?」
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