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    イ尹土反

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    POIPOI 16

    イ尹土反

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    過去に自カプで書いてた小話をバデオク版に書き換えた習作。現パロ。

    無題バデオク風呂

    「はああぁぁ……」
    帰宅の際、突然の雨に降られて冷えた体を湯船にゆっくりと沈めていく。オクジーは体の芯から温められ、冷えた体が解れていくような感覚に深く息を吐いた。浴槽からは音を立ててお湯が溢れ出す。
    「おい、お湯が溢れているぞ。勿体ない」
    ガラリと浴室に入ってきたバデーニは顔を顰める。同じく雨に濡れて帰ってきたせいで、拭いたのだろうが髪がしっとりとしている。バデーニは排水溝に流れていくお湯を恨めしそうに見やると、オクジーなんてお構いなしに浴槽の空いてるスペースに無理やり体をねじ込んだ。成人男性二人が押し込まれ、浴槽のお湯が先程より勢いよく溢れ出ていく。
    「せ、狭いですよ!それに風呂は順番だって決めたはずじゃ…」
    「寒いから仕方ないだろう、私も温まりたい」
    傲慢な物言いを押し通し、我が物顔で湯船に浸かるバデーニにオクジーはそれ以上何も言えず身体を縮こませた。
    向かい合って湯船にじっくりと浸かる二人に、しばらくの間沈黙が流れた。オクジーが目の前のバデーニをじっと見つめる。
    研究職ながらも程よく筋肉のついた身体をしている。星の輝きを思わせる髪の先が水面に垂れて揺れている。しばらく入浴したおかげで頬はほんのりと赤く色づき、ほうと息を吐くそのどこか艶のある表情にオクジーの心臓が大きく跳ねる。首筋を伝う水滴を目で追えば水面に消えていき、その下に覗く下半身を目にしてしまう。ふと、オクジーの視線にバデーニが気づいた。
    「…なんだ」
    「…ベッドで裸で向き合うことはありますけど、風呂でこうなるとなんか違いますよね」
    「違う…とは?」
    突然、オクジーが身を乗り出してバデーニに詰め寄った。ばしゃりと水面が大きく揺れ、オクジーの大きな身体が眼前に迫り、バデーニは視界の圧に思わず身を引く。バデーニの灰色の瞳に焦りと恥じらいを孕んだオクジーの顔が映る。
    「ひ、久しぶりにこうして二人の時間作れたんですよ?だから、そ…その…、えぇと……。っば、バデーニさんなら…わかるでしょう?」
    勢いよく迫ってきた割に、紡がれた言葉は歯切れが悪い。ちらちらとこちらを窺うオクジーに対して合点のいかないバデーニは首を傾げた。
    「わからん」
    「ええっ?!」
    オクジーの情けない声が浴室に木霊する。
    「その、アレですよ、この雰囲気なら!」
    「全くわからん。というか、君も私に答えさせようとしないで言ったらどうだ」
    「だ、だから……」
    その先の言葉を紡ごうと口がもごもごと動くが、はっきりとした音は発せられないまま「すいませんなんでもないです」と、落胆した様子のオクジーは浴槽の反対側へ背中を預け、宙を仰いだ。
    その様子を見てやれやれと肩を竦めるバデーニは、少し考える素振りを見せると今度は自分から身を乗り出した。オクジーの股の間に割り入って、窮屈な浴槽の中でも構わず密着してくる。火照ってきた互いの濡れた肌が触れ合い、重なる。
    「な、なんですか?」
    「…風呂は順番だと言ったのは、私だったよな?」
    「は、はい。一緒に住むってなったときに、バデーニさんが決めたと思います」
    突然のことにしどろもどろになるオクジーは、数ヶ月前にこのアパートで暮らし始めた時のことを思い出す。風呂場を覗いたバデーニが放った一言が風呂の順番についてだったことについて、まずそれを決めるんだと小さく笑ったことを覚えている。
    「……あれ?そうだ、バデーニさんが言い出したことなのに、なんで今日は……」
    最後まで言い終わらないうちに、オクジーの唇は遮られる。バデーニの唇がゆっくり離れていくと、欲に濡れた瞳に自分の姿を映っていた。のぼせたように真っ赤な顔だ、それを見てバデーニは小さく笑う。
    「誘っているとわからないのか?」
    「……わかりませんでした」
    「鈍いやつだな」
    「っバデーニさんだって、さっきの俺の誘いの意味、わかってなかったですよね」
    「あれは君が下手すぎるんだ」
    二人でくすくすと笑い合う。程なくして、互いに手を伸ばしてもう一度唇を重ね合わせた。すでに二人の体は芯まで温まっている。
    「では、のぼせる前に始めよう」
    バデーニがオクジーの髪を梳くように触れると、了承するようにオクジーがその手に擦り寄った。
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