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    鹿の子

    @Kano_dc1107

    25↑¦萩松¦K察学校組¦萩松に狂わされたオタク¦

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    鹿の子

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    夏の切ない萩松。

    2022年8月2日 pixivより

    返事は夏の空に消えた「もし、明日世界が終わるならどうする?」

    昼休み、こっそり忍び込んだ旧校舎の屋上で
    昼ご飯を食べている時だった。
    唐突に質問をされキョトンとした顔で萩原を見た。

    「なんだよいきなり。」
    「いや、ふと気になってさ。陣平ちゃんならどうするかなって」
    「どうって、別にいつも通りだろ。人は死ぬときゃ死ぬ。」

    そう言って興味なさげに
    手に持っていたパンを頬張った。

    「そう言うお前はどうなんだよ。」
    「俺?俺は…」

    質問を返された萩原は少し言葉を濁し黙った。
    蝉の鳴き声が煩い。
    じりじりと日差しが肌を照りつけ汗が滲む。

    「萩…?」

    いつも口を開けば軽い言葉ばかりなのに
    やけに歯切れが悪い。
    そして萩原から口から出た答えに目を見開いた。
    蝉の鳴き声に掻き消されそうなぐらいの
    小さな声だったが何故かはっきりと聞き取れた。

    「松田と一緒に最後を迎えたい。」

    こいつが苗字で呼ぶ時は決まって真剣な時。
    つまり本気でそう思ってるという事だ。

    「俺ね、松田の事が好きだよ。」
    「なっ…はぁ!?」

    優しく垂れたアメジストの瞳がいつもよりも深みを増して
    真っ直ぐにこちらを捉えていた。
    背が高く色男なこいつの顔で迫られたら
    女だったら一瞬で恋に落ちていただろう。



    「なぁ、俺と一緒に最後を迎えてくれる…?」



    なんて最悪な誘い文句なんだろうか。
    萩原ともあろう男がときめきの欠片もねぇ。
    いや、男相手にときめきもクソもねぇんだけど。
    だけど嫌な気はしなかったんだ。
    むしろ嬉しかった。
    ガキの頃から一生で大人になっても
    変わらず一緒にいられたら、なんて思いもした。
    今思えば俺は萩原研二という男に既に惚れていたのかもしれない。



    昼休み、本庁の屋上。
    あの時と同じ蝉の声が煩く響く。



    「本当、最悪なプロポーズじゃねぇか。
    一緒に最後を迎えるんじゃなかったのかよ…馬鹿野郎…。」

    屋上で本日何本目か分からない煙草を吹かし1人自嘲した。


    end.

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