主くり/線香花火「おい」
部屋の扉が急に開いたと思ったら顎でクイっとされながら外に誘われた。
昼間とは違い薄暗くなった庭を通り本丸から少し離れた所まで来ると待ってろと言われたので大人しく待つことにした。昼間に比べて暑さも収まり時折緩やかな風が俺の体を通り抜けていくのを感じていると少し離れた所でバケツと大きな袋を持って何やら準備している姿が目に見え不思議に思っていると彼、大倶利伽羅は袋をずいっと手渡してきた。
「これなに?」
「開けたらわかる」
言われて促されるように袋を開けると夏によく見る物が見えた。袋の中には何種類もの花火が入っててスタンダートなものから見たことない種類のものが入っていて子供の頃、家族や近所の友達と集まって遊んだ思い出が蘇り懐かしさが込み上げてくる。大倶利伽羅と言えば俺が袋を開けている間に、火の準備をしてくれたみたいで手際の良さに感心してしまう。
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