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    kurogoma527

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    kurogoma527

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    いつもお世話になってるフォロワーさんに向けて
    主刀ラジオ📻から書きました!! 日本号さんはかっこいいんだ!!

    貴方と会えた日/さににほ貴方と会えた日/さににほ

    審神者として働き始めて早数年…政府より新刀剣男士の顕現のお知らせが支給されたPCに写し出される姿を見て胸の内から湧き上がる感情に心を揺さぶられた。
    「綺麗だ…」
     一括り束ねられた髪をあげニヒルに笑いツナギ姿で大きな槍を持つに相応しい大きな体格が目に入り、食い入るように改めて姿を目に収める。
    見れば見る程惹かれる姿に確信を持つように言葉を吐きながら名前を確認すると『日本号』と書かれた名前をなぞった。
    熱くなった体を冷ますように手で顔に風を送りながら心の中で囃し立てる気持ちを整理する、まさかこの年で…それこそまだ話した事も無ければ相手の事をよく知らない本当に姿を見ただけで…息を吐いてそのまま床に項垂れた。
    「一目惚れって本当にあるんだ」
     もう一度、PCに映る姿に見てパシんと頬を叩いて気合を入れながら近々やってくる鍛刀キャンペーンに向けて立ち上がったのだった。
     ◆◆◆
     結果としては惨敗だった…。あれだけ溜めてあった資材は全て溶け切り自腹で政府より取り寄せた資材ももう片手で数えれる程しか残っていない、近侍の刀に渋い顔をされながら泣く泣く諦めるしかなくなってしまった。
     数ヶ月後ある戦場にて『日本号』がドロップで出現すると言う噂を聞いてから俺は出陣の指示の傍らその戦場に部隊を派遣していた。身勝手な事だとは思うが本丸の刀達も数ヶ月前の俺の憔悴しきった姿を見たせいなのか分からないが文句の一つも言わずに出陣してくれる刀達には感謝してもしきれない。
     噂の戦場に派遣し始めて数週間、帰還した部隊が持って帰ってきた長い槍を見て身体中に初めて見かけた時の様な緊張感と歓喜による震えが走った
     頑張って見つけてくれた部隊のみんなにお礼を言いながらすぐに顕現するために部屋を移動した。
     いつも通り顕現するために霊力を流すだけなのに緊張からか喉が乾く、震える手を見ないように槍の中心部に触れてゆっくりと霊力を流していくと部屋一杯に桜吹雪が満たされ思わず瞬きしてしまう。
     目を開けると、長身の体に思ったよりクセっ毛の髪を束ねた髪を片手でサッと整える姿と、ぱちぱちと何度も見開く紫色の目と目があった。
     不思議そうに俺を見つめる姿がまるで幼子のような仕草が可愛い。
    「あー、ゴホン」
     喉に手をあけて声を出しながらにやっと笑う姿は想像以上に色気があって俺の胸はさっきからドクドクと鳴って相手に聞こえないか不安になる
     正直に言うと頭の中は真っ白で、顔も真っ赤に染まっている姿を見ても目の前の男は興味がないのか姿勢を正すと改めて口上を述べる。
    「日の本一の槍こと、日本号。只今推参。あんた、俺が来るまで何杯飲んだんだ?」
     ゆっくりと自己を述べる低音の声に耳がくすぐったくなる、お酒に関わる逸話を持っている槍らしくユーモアのある言葉に気品すら感じながら俺はただ来てくれて嬉しい、宜しくと声をかけるだけで良いはずだった。
    「好きです、付き合ってください!!」
    「はぁ?」
     思わず出た言葉に自分でも驚いたが出た言葉は消える訳でもなく、俺の発言を聞いた日本号は不快感を隠そうとせずため息を吐いた。
    「あんた、そんなもんの為にオレを呼んだのか?悪いが諦めてくれ」
    「う、その…」
    勿論、俺の咄嗟の告白に対していい返事がある訳もなく振られてしまった。その後本丸の初期刀と一緒に本丸をまわっていくうちに機嫌も治ったのか顕現時に一緒に持ってきた酒を飲みながら興味深そうにキョロキョロ周りを見渡している姿に思わす好きだと呟いてしまう。
    日本号さんが本丸にきてからと言うもの、育成の為に戦場に出している。俺はと言うと手痛く振られたのにもめげる事なく好意を伝える日々を送っている。最初は迷惑そうな表情を浮かべていたが慣れたのか今では聞き流してくれる程にまでなった。相変わらず俺の好意は日本号さんには響いていないがそれでも溢れる想いを止めれる術を知らない俺は日本号が断らない事をいい事にチャンスがあれば伝える事に専念していた。
    日本号も戦に慣れてきたのか今より強い戦場に行きたいと申し出があった、少し心配だったが正直レベリングも滞っていたのも本当で日本号さんより強い刀を呼び多少進むのに苦労するが最後まで進める編成で送り出した筈だった。
    …布団に横たわり荒い息を吐いて治療を受ける姿を見てズキンっと痛む胸と共に先ほど受けた戦場報告を思い出す。検非違使の噂は聞いていたがまさか日本号さんを送り出した日に出現を確認するとは思わなかった…いや、これはただの言い訳だ。まだまだ情報が少ない中で出た検非違使相手に一振りも折れる事なく帰還した刀達に感謝しながら寝ている日本号の手を取りギュッと握る。本隊の中で一番狙われていたらしい日本号は損害が大きくゆっくり霊力を注いで直さないと折れてしまいそうで恐怖を覚えた。
    「日本号さん、日本号さん」
     泣きそうになりながら一定の間隔で霊力を注ぎ続ける、傷が治る度に唸る声に呼びかける事しか出来なくて、気づいたら深夜に差し掛かる時間になっていた。だいぶ傷も塞がり息もゆっくりとした息遣いになってきた。安心感からか一気に体に疲労が込み上げてきた額にかいた汗を拭きながら息を吐いた。
    「んっ…」
    「日本号さん!!」
     うっすら目を開けた姿を見て思わずガバッと身を乗り出す、急に顔を出したせいか目を一度見開くと少し赤みがかかった目の色がゆっくりと紫色に戻るのが見えた。
    「あんたか…」
    「日本号さん!無事でよかった」
     俺の声に薄っすら笑みを浮かべたと思ったら急に気まずそうに顔を逸らされた。どこか傷むのかな?ソワソワしながら言葉を待っていると
    「あんだけ啖呵切ったのに悪い」
    「いや、俺の方こそ…検非違使の情報が出ていたのにも関わらず。すみません」
     お互い言いたいことがあるのに部屋に張り付くような静寂が声を出すのを躊躇わせる。重傷から回復したとは言えまだ回復し切っていない筈だ、俺が居たら気も休まらないだろう、この場を後にしようと立ち上がった時だ。
    「…ないのか」
    「何ですか?」
    「刀解しないのか」
    「……」
    刀解??なんで俺が??ぐるぐる回る日本号さんの言葉に理解が追いつかず困惑する。
    「何でそんな事を?」
    「後一歩で大将首取れたのにおれのせいでよ…」
    「何でそんなこと言うんですか!俺は日本号さんが帰ってきてくれただけで嬉しいのに!そんなの事言わないでください」
     思わず日本号さんの手を掴み必死に言葉を伝える。
    「俺は、俺は貴方の事が好きなのに、どうしてそんな悲しいことを言うんですか。それじゃなくても俺は俺は…」
     言いたいことが言えず巡り巡った感情が涙に変わりポロポロと溢れ出る、乱暴にぐしぐし拭って日本号さんを見るとポカンとした顔で俺の方を見ていた、あんまり見ないで欲しかったがここで目を逸らすわけにはいかなかった。
    「あー、なんだ。その悪かった」
    「もう、そんなこと言わないでくださいね」
    「ああ」
     ふっと気が抜けた様に綺麗に笑う姿をきっかけに部屋に先ほどまで張り詰めた空気が柔らかくなったのを感じた。鼻がぐずっと鳴るのが気恥ずかしくて一度顔を洗おうと繋いでいた手をゆっくり離し立ちあがろうとするとグイッと袖を引っ張られた。
    「日本号さん?」
    「何となくだが少し体が痛いからよ。もう少し側にいてくれ」
    日本号さんの傷はとっくに塞がっており後は本当に細かい傷だけの筈だ。分かり易い日本号さんの甘えに似た行動にくらっとする頭を押さえてそれじゃとばかりに改めて手を繋ぐ。
    「これで痛くなくなりますか?」
    「ああ、あんたの体温は心地いいな」
    「良かったです、好きですよ日本号さん」
    「そうかい」
     握った手を振り払うこともなく素直に言葉を伝えてくれる日本号さんの可愛さに思わず好きだと伝えてしまった。いつもなら聞き流すか、面倒臭そうにあしらわれるかの何方かだったのに目を瞑った日本号さんは初めて聞き入れてくれた。否定も肯定も無かったが俺にとっては重大な一歩である事には変わらず思わず日本号さんを見るも目を瞑ったままだった。
    「可愛い、好きです日本号さん」
    返事は流石になかったが少しだけ握っていた手を握り返してくれただけで満足だ、寝る日本号さんを邪魔しないように俺もそっと握り返した。




     
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