無題「京極さんが昨夜、帰るところがなくなったから泊めてくれ!って言って僕の家に転がり込んできたじゃないですか。覚えてないんですか?」
「あ〜……うん、なんかそんな気がしてきたな。ごめんな歩!迷惑かけちまって」
「全く…京極さんのそういうところですよ、まぁ、僕だからいいですけど…」
「ほんと、わりぃと思ってるよ……何かお礼はするからな」
「はいはい、期待してますよ」
京極さんに対する文句を言いながらも、僕は心の片隅でこの状況をとても好ましく思っていた。だって、僕の家には京極さんがいて、そして僕の作った朝ご飯を美味しそうに食べている。更に言うと、京極さんは明らかにおかしいこの状況を微塵も疑っていないのだから―――。
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