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    ミキョウ

    @mikyou149_m

    新人、神アスP

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    ミキョウ

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    パバステ現地1st 無配
    神谷ウエディングガチャに狂った神アスPが一晩で作った無配、会場では8pの豆本になってました

    パバステ現地1st無配「……んぐッ!?げふっ」

     アスランの喉仏が不規則に上下すると、ごくりと音を立てた。

     一日の仕事を終え、夕餉もふたりでゆっくりと取り、その後のまったりとした時間を過ごしていた時だった。
     満たされた胃に、神谷の淹れた紅茶を飲みながらの穏やかな刻。ソファで隣り合ってぼんやりとテレビに視線を流す。触れ合う肩が心地よく、液晶の映像は瞳に映るのみで、たいして記憶に残らない。バラエティー番組の賑やかな声は、耳を右から左にすり抜けていくようだった。
     番組がCMに入り、見慣れた映像がいくつか流れた後だった。

     隣に座っている男の顔がモニターに映し出される。

     海沿いの穏やかな街。白を基調とした美しい建築物を背に着飾った美丈夫。
     沈みゆく夕日がキラキラと淡い光を反射させて煌めく。そのひと光が男の左手の薬指を輝かせた。
     シンプルなシルバーのリングにそっと柔らかな唇が重なる。伏せていた瞳が一度こちらを見たかと思ったら、ぱっと照れたように反らされた。その頬は夕日のようにじわじわと淡く染まっていく。そして、はにかみながら蕩けるような笑みを零したのだった。

     アスランはそのCMを息を忘れて見入ってしまった。そして、驚きに喉を詰まらせて咳き込んだのだった。

    「……あぁ、今日から放映だったか」

     大丈夫かい?と言いながら、神谷はアスランの背を優しい手付きで撫でる。
     自分の胸元をとんとんと叩きながら、数ヶ月前に神谷が海外の仕事に出ていたのを思い出した。
     お互い単独の仕事は機密保持の為、解禁されるまでは知らない事が常だ。しかしこのようなタイミングで目にするとは思ってもいなかった。
     ドッドッ、とアスランの心臓が大きく跳ねる。
     あまりにも映像の神谷の表情が甘く色っぽく、突然の事に乱れた呼吸を整える事が出来ない。

     背を撫でる手を止めて、神谷はアスランの握るソーサーを受け取るとそっとテーブルの上に置いた。その光景をアスランは不思議そうに見やる。
     そしてニコリとアスランに笑みを贈ってから、神谷はそっと優しく手を取った。
     左手の薬指。そこには何もはまってはいない。しかし神谷は吸い寄せられるように唇を寄せる。その光景はスローモーションのように流れて、しかしアスランは何も出来ずに見入る事しか出来なかった。

     ちゅっと、音を立てて、柔らかな唇が触れる。その感触にようやく現実なのだと、止まっていた時が動き出す。思い出したかのようにまたアスランの心臓は高鳴った。

    「俺がこの時、何を考えていたか分かるかい?」

     唇を寄せたまま、砂糖菓子のように甘さを含んだ視線がアスランを射抜く。その視線から瞳を反らす事など出来ず、しかしはくはくと唇が震えるのみで、返答の声も出てこない。
     逆の手で、愛おしそうにアスランの頬を撫でると神谷はゆるりと目尻を細めた。その頬は淡く染まって、幸せそうで。とろりと蕩けた瞳は熱に浮かされたような輝きを放つ。

    ――あ。さっきの。

     きゅうと胸の奥が苦しくなって、心臓は相も変わらず早鐘の如く脈を打つ。顔が火照って熱いがそれ以外にも確かに胸の奥には優しい感情が溢れている。
     へにゃり。と眉が下がってアスランはふふ、と嬉しそうに笑みを零した。

     神谷はその笑みにはっと息を飲むと、また幸福そうに笑む。

    「……もっと近くでその顔を見せて、」

     ジャムを煮詰めたような声で囁かれる。鼓膜を揺らす音が甘く心地よい。耳元に頬に、柔い唇が撫でるように触れた。

    「……分かったかい?」

     吐息と共に、また問いかけられる。しばし視線を右に左に流したアスランは茹った顔のまま、ちいさくこくり。と頷いた。
     その姿に神谷は口元にゆるりと弧を描いて、最後にはその唇を愛しい人へと贈った。

     握った左手の薬指を優しい手付きで何度も撫でながら指先を絡めていく。熱を生みながら震える指先はぴくりぴくりとか細く揺れた。

     きっといつの日かアスランのこの場所にも揃いのリングがはまるのだろう。
     映像ではなく、画面越しでもなく、あの胸をざわつかせる甘い笑みをこの深紅の瞳で見る事が出来る。
     今宵は、多くの民にその姿を見せてしまったが、きっといつかアスランだけにあの笑みを向けてくれるのだろう。
     その日が来るのが、何よりも幸せで楽しみで、花が綻ぶようにアスランは満面の笑みを咲かせた。
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