『工場浮在と夏の記憶』
○ウトネ
烏ト根 夏記(ウトネ ナツキ)
烏ト根財閥の御曹司で与えられた会社で社長職をしている。
移動中に出身高の前を通りかかると大きなひまわり達が咲き誇っており、昔死んだ幼馴染のことを思い出した。
誘われるように昔彼が手入れをしていた花壇に行くと、そこにはあの日と変わらないままの幼馴染がひまわりに水を遣っていたのだった。
「……そうかよ」
「枯れたら来年も植えりゃいいだろうが」
「僕がお前を必要とするんじゃ駄目かよ!」
委員会 生徒会長
一人称 僕
家族構成 父、母、弟
趣味 洋画鑑賞(表向きには)
特技 勉強運動全般
好きなもの なし
仕事 家業の補佐
大企業の御曹司。
短髪で清潔感のある格好を心がけている。
アクセサリー関係は殆ど付けず、ごちゃごちゃした服装は嫌い。
制服やスーツや着ているのが楽で好き。
文武両道を絵に描いたように万能で成績は常に1位をとるほど。
生徒会選挙の際は歴代トップの投票数を集め、生徒にも教師にも頼られている。
コウバが死んだあとも普通に生活をしており、卒業後は大学に通いつつ家業に加わり働いている。
そんなある日、コウバと再会した日まで時間を遡ってしまっていた。
夢だと思いつつも死ぬとわかっている相手をそのままにしておくのも後味が悪いので、コウバを気にかけつつ2度目の高校最後の夏休みを始めることになる。
そして、ウトネはだんだんコウバについて知っていくことになる。
大きな財閥の長男として生まれ、息苦しいほど大切にされて育った。
そのせいで弟からは対抗意識から嫌われている。
コウバと遊んでいるときだけが素でいられる時間だったが、ある日何も言わずにコウバがいなくなってしまった。
以降全てがどうでもよくなり親の言われるままに自我を出さずに生きてきた。
生まれたときから家業を継ぐことを決められており、高校を卒業した後は本格的に家業に加えられてしまうために高校生の時が最後の自由の時間だった。
夏休み前にコウバと再会し、夏休みの殆どをコウバと過ごす。
夏休み最終日以降にコウバが現れず、数日後に死体で見つかったのだと聞いた。
また何も言わずにいなくなってしまったのだとコウバのことを忘れることにしたものの、どこか忘れられない自分がいた。
タイムリープのことは夢だと思っているものの、死ぬことがわかっている相手をそのままにしておくのも気分が悪い。
1回目の記憶を回想しながら、ウトネは新しい夏休みをコウバを過ごす。
ウトネの立ち回りのおかげかコウバは夏休み後も学校に来ていたが、卒業式後にウトネに別れを言ってから自殺をしようとする。
コウバが死んだ理由を知ってしまい止める権利が自分にはないと思いウトネはコウバの死を受け入れた。
気が付くと元の時間に戻ってきていた。
目の前には枯れたひまわりが立ち尽くしていて、ウトネは種をひとつを取ってその場を去る。
生存ルートでは、コウバの死を自分のワガママという名目で阻止する。
そのままコウバの手をとって電車に飛び込み駆け落ちのような行動を取った。
田舎町に住居を持ち、ウトネは今までなら絶対に経験することなどなかった工事現場などで働き出す。
今まで綺麗に保たれてきた容姿が汚れていくことに開放感を覚え、生き生きと過ごしている。
髪を伸ばしてハーフアップに束ね、視力が落ちたので眼鏡を掛けている。
服装もラフなものが多くなり、素を殆ど隠さなくなった。
数年後、コウバとは名前で呼び合う関係になる。
○コウバ
工場 浮在(コウバ フアル)
ウトネの幼馴染。
小さいときによく遊んでいた仲だったが、ある日突然いなくなってしまった。
高校3年生の夏休み前に偶然ウトネと再会する。
ウトネと夏休みを共に過ごすも、夏の終わりに失踪して自殺した。
「ウトネに『コウバ』って呼ばれるのが好きだった」
「ウトネと過ごした高校生活は楽しかったな」
「俺、やっと居たい場所を見つけたんだ」
部活 園芸部
一人称 俺
家族構成 父(他界)、母、祖父
趣味 ガーデニング
特技 土や肥料の調合、家事全般
好きなもの ひまわり
仕事 ホームセンターでアルバイト
ガーデニングが趣味の高校3年生。
緑掛かった髪を束ねられる程度に伸ばしており、毛先には青いメッシュが入っている。
視力は悪くないがレトロな分厚い丸眼鏡をかけている。
植物が好きで植物モチーフのアクセサリーを好み、双葉の形のピアスがお気に入り。
園芸部に所属しており、校内の花壇の殆どを手入れしている。
彼が作ったひまわりの花壇は学校の名物になっている。
両親がおらず、現在は祖父と二人暮し。
祖父の庭で様々なものを育てており、収穫した作物を近所に配るなどしている。
放課後や休日はホームセンターの園芸コーナーでアルバイトをしている。
誰とでも仲良くしているが、目立って仲良くしている人物はいない。
名前の通り、ふわふわした立ち回りをすることが多い。
ごく普通の一般家庭で育った普通の少年だったが、父親の束縛に限界を迎えた母親が父親を殺したため生活が一転する。
母方の祖父母の家に引き取られ、ウトネに何も言えず離れることになった。
父親の愛で雁字搦めになっていく母親を間近で見ており、自由を奪われることこそ愛だと思っている。
なので母親がなぜ父親を殺してしまったのか本当の意味では理解できていない。
母親の祖父母との生活が始まるもコウバが父親似であり、だんだん娘を追い込んだ男に似ていくので優しくはされているもののどこかよそよそしくされてるのを気付いている。
いつも笑顔を貼ることでやり過ごしているが、自己肯定感が日々なくなっている。
気を遣われるので自分の誕生日が嫌い。
髪を伸ばして眼鏡を掛けているのは父親似の顔を誤魔化すため。
メッシュもピアスも友人に進められてノリで染めたり開けたりしたが、コンタクトだけは断っている。
メッシュの青は青薔薇やネモフィラから選んでおり、奇跡、不可能、あなたを許すなどの花言葉の意味を込めている。
自由を願って付けられた自分の名前が好きではない。
なのでウトネには最初からコウバと名乗っており、ウトネはコウバの本名を知らなかった。
今の名字は工場ではなく、母の旧姓である宮槻である。
そのせいでウトネは生徒名簿からコウバを見つけることができなかった。
植物が好きなのは憧れから。
自分も根を張れる居場所が欲しいと願っている。
ウトネのことをウトネと呼ぶのは漢字に『根』が入っていることと珍しい名字であったから。
高校3年生の夏が終わったら、ひまわりが枯れたら自殺するつもりだった。
なのでウトネが自分のために時間を作ってくれたことを喜んでおり、穏やかな気持ちで夏を終えた。
ウトネがタイムリープした後、夏の終わりに自殺はしないで済んだが、ウトネと過ごした高校3年生が終わるのが嫌で結局卒業式に学校で自殺する。
生存ルートに入った場合ウトネと駆け落ちをする。
その際ウトネが顔を隠す用途でコウバの眼鏡を無理矢理借りるが、もう自分の顔を見せることに罪悪を感じなくていいのだとウトネの言葉に救われ、以降眼鏡は外す。
願掛けをしていた青いメッシュごと髪もバッサリと切り、死にたいとは思わなくなった。
南の方の街で植物を育てながらウトネと穏やかに生きていくことになる。
数年後、ウトネとは名前で呼び合う関係になる。