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    佐伯櫻

    フンフンッ汚いらくがきしかないよォ!!

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    佐伯櫻

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    だいたいタイトルです。供養 リンゴが好きなのでリンゴが主人公の作品を書きたくて…多分ブロマンス

    転生したらリンゴになった件について~リンゴ、少年に会う~(仮タイトル)『……せよ』
    んん、何だろうこの声…
    電子音のような、女性のような。はたまた男性のような。どこかで聞いたことある声だ……どこだったけ…?
    『……罪せよ』
    何も思い出せないな……とういえば俺って今どこにいるんだ?何となく顔の横でびゅうびゅう風の音が鳴ってる気がするし、背中が無性に寒い。何なんだろう…というかそもそも寒い面積が小さい気がするのはこれ如何に。
    『贖罪せよ』
    …あぁ、思い出した。どこかで聞いたことある声だと思ったんだ。これは──

    死ぬ前に聞いた声だ。

    『愚かな人間共は、起こしてはならぬものを幾度となく起こし、あまつさえ与えてはならないものをついぞ与えてしまった。その酬いを晴らすがよい──』
    何だよ、それ……そんなの…俺は──!

    ──ドンッッ
    大きな衝撃が俺に当たった。いや、落ちた、というべきか。良かったというべきかどうかはわからないが俺に衝撃は感じても痛みは感じなかった。それ以上に怖いことに俺が落ちた衝撃で地面が割れた気がするのだが気にしないほうがいいだろう。
    ──俺の名前は、田中祐輔。しがない大学生だったはずなのだが、勘当された家に突然連れ戻され、そして神様への生け贄になる儀式を強行させられたしがない──
    とある宗教団体の教祖の息子である。

    ひょんなことからどうやら空に落ちてしまった俺、田中祐輔は頑張って顔を左に向けるとそこにあったのは地面の割れ目だった。
    ──おう…すごい見事なまでの割れ目だ…
    人一人落ちたらこんな風になるかどうかはいささか不思議だが、それよりも一つ気になることがある
    『こんにちわ』
    ─何か、すごい蟻に似たでかい生き物が黒い丸々とした瞳を此方に向けて挨拶してきたんですけど?!
    どういうことかよくわからないが、とりあえず俺は『こんにちわ』と震えながらに挨拶を返して貰うと『わぁ、喋った!』と蟻さんが小さく跳ねた。何々怖い
    『え、どういうことでしょうか…?』
    『リンゴが喋った!珍しいねー、あ、でも何かぽわぽわ魔力が感じるからー、意思があるのも頷けるねー』
    ─なんだろう、この個性豊かな間延びした声の蟻さんは。
    ん?というか、それどころではない単語が聞こえたのだが…
    『リ、リンゴ?!』
    『うん。そうだよー、キミはすごくリンゴだと思うよー自分の姿がわからないの?じゃあ湖までコロコロ転がしてあげようかー?』
    すごく、すごく魅力的なことを言われている気がするが……しかしコロコロか……いやでも致し方ないよな…何とか耐えて──
    『お礼に一口でいいよー』
    『やめてください』
    ──ギャー!助けてー!誰かー!お巡りさーん!!蟻に、蟻に食われるー!!物理的な意味でーーー!!
    俺は無我夢中で叫んだ。それはもう無我夢中で。多分跳び跳ねた気もする。どうやって跳び跳ねたのかわからないが蟻さんが『ごめんねー、痛いのやだよねー』と言った気もする。同情も出来る心優しき蟻さん……何か色々ごめん…
    「どうした?!誰かいるのか!?」
    『『!!』』
    どこか草むらの方から人の声がする。蟻さんもどうやら驚いたようで、そちらのほうに振り向いては『何で人間がボク達の声がわかるの…?』と呟いた。
    『ん…?どういうこと…?』
    『…ごめんねー。説明は出来ないみたい。ボク小さくて人間には敵わないから、とりあえず逃げるねー』
    『あ、ごめん俺が呼んじゃったばっかりに…』
    『んーん、大丈夫だよーボクじゃキミのこと助けられないと思うし、イイ人に拾われるとイイねー、じゃあねー』
    そう言うとありさんはとことことどこかへ走って行った。
    ─多分、助けられないというのは大きさの問題や、俺を食料として見ていたところにあるのだろう。なんと出来た蟻さんだ。ありがとうと伝えようとしたが、蟻さんは人間を危惧していたし、人間はどうやら俺達?の言葉がわかるようだし声は出さないようにユラユラと感謝の舞を表現してみた。するとどうだろう…
    ──コロコロコロコロ…
    何と転がってしまったのだ。草むらの中に転がってしまった俺はチクチクとした感触を感じながら人間を窺ってみた。
    彼はお世辞にも綺麗とは言えない不清潔な服装をみに纏っていたが、彼の体につく顔は人類希に見るほどの綺麗さ、俗にいうイケメンというやつなのだろう。こんな顔のレベルはモデルの類いでしか見たことない。年齢は、中学生くらいだろうか。年齢に似合わず長身、または小柄である可能性も否定できないがまぁ成人はしてないだろう。
    ─しっかし見たことない服装だなぁ…
    Tシャツの真ん中を切って紐で塗ったようなデザインにズボンは塗ったような荒さだ。裾が左右違う。
    ──何故だか、昔の自分を思い出した。
    昔の俺はお綺麗な服なんて着せてもらえず、腐ったような匂いのする箱に──
    ─おっといけない。
    それよりも状況がわからない今は、この少年を観察することしか出来ない。というか動けない。それに、この少年がどういう人間なのかわからない今、下手には動けない。もしかしたら害されるかもしれない。
    ──俺が日本ではない不思議な雰囲気の世界でリンゴとして降ってきたのには、きっと理由がある。
    知っている声が言うには『贖罪せよ』との事だが正直あの宗教団体が呼び出した神と俺が聞いた声が同一人物かもわからない今、下手に動くわけにはいかないだろう。
    俺が─リンゴと呼ばれるからには丸いツルツルとした円形の果物なので正直どういう原理かはわからないが─息を潜めていると少年はキョロキョロと見渡したあと「聞き間違い…か…?」と呟いた。
    「はぁ、まぁいいや。聞き間違いじゃないにしてもオレはここから出るわけにはいかねぇし、今日はここで…」
    ─聞き間違いじゃないですよー。少年はどうやら耳がいいらしい。
    彼の情報を頭─リンゴと呼ばれるからには丸いツルツルとした果物なので正直どういう原理かはわからないが─にインプットしていると少年はおもむろに木の板とそこら辺にある石を拾うと何やら板を傷つけ始めた。彼が用意したのは木の板だけでなく何やら機械のようで、変な音、何かが回る音のようなもが鳴っているのが聞こえる。─どういう原理かは知らないが─
    「風の向きがおかしいな…あぁ、地面が割れて───!」
    少年は驚いたように立ち上がると地面の割れ目に向かって駆け寄り何やら地面を指で掘った。そうして彼が取り出したのは幾つかの綺麗な、花──
    「こんなこと、誰が─!おい、誰かいるんだろ!!こんなことしやがって!!!ただじゃおかねぇ!!!」
    少年は立ち上がると草むらの方に荒く歩みを進めると、俺は呆気にとらわれた後慌てて自信の体、かどうかはわからないがそれを前に移動させた。
    『ごめんなさい!!』
    「は、ぁ──?」
    突然リンゴが現れるのを見た少年は硬直した後「リ、リンゴが喋ったーーー!!!!」と飛び上がるのだった。

    「つまり、テメェが落ちてきたから地面は割れて花は潰れたから謝りたいと」
    『はい…』
    「…不可抗力なのはわかった。ただリンゴが喋る理由は?落ちてきたワケは?謝りてぇなら筋は通すべきだろ」
    『は、はい…』
    そして俺は全てを話した。
    ─俺が田中祐輔という、元は人間だったこと。
    ─俺は前世では宗教団体の息子で、神の生け贄にされ確実に──死んだということを。
    「テメェの経緯はわかった。死んだってのは、どういう…」
    『俺が生まれた宗教団体、まぁ有り体に言えば一つの神様を崇め奉る団体のことなんだけど、そこで生まれた俺は、最も信仰心が高い教祖様の血に近い人間として……中身を抜かれた』
    「は、…?」
    『子供にこんなこと聞かせるべきなんじゃないけど、あんたが怒るほど大切にしていた花を潰してしまった贖罪に、俺の誠意を捧げたい』
    「……」
    『…続けていいか?』
    少年は小汚ない髪の毛をガリガリと掻くと男前な顔を男前に歪め「続けろ」と呟いた。
    『正直、途中からは何の記憶もないんだ。意識がある状態で腹を切られて…その後は儀式の内容を知った上の憶測でしかないんだが、この儀式は成り代わりの儀式で、本来は俺の体から全部抜いて教祖が入り込むはずだったんだ』
    「…本来は?」
    『あぁ。そんなの俺が知ってて受け入れたいわけないだろ。必死に考えた結果、儀式の内容をすり替えることなんだ。』
    「…─それってさ、儀式の内容を元々知ってる奴らからしたらすぐバレるんじゃないの?」
    『結果的にはバレた。でも神聖な書物の内容が違ったからといって否定できないのが教団の性だと思ってた……でも、ぶちギレた教祖様に「生け贄に」にするって言われて、俺は最も残虐な方法で、殺された…』
    「それで神様らしきものにあったってワケか」
    『あぁ。それからどうなったのか知らないけど、贖罪しろって言われて、ここに落ちたわけ』
    「……まぁ、不可抗力のワケも、落ちたワケもわかったよ」
    『信じてくれんのか?!』
    少年はいきなり数センチ飛び上がったリンゴに驚いたようだったがため息を吐いて「信じる」と呟いた。
    「俺も噂でしか知らねぇけど、"マレビト"ってのがあるらしい」
    『マレビト?』
    「あぁ、突然空から落っこちたり誰もいなかったはずの場所に突然人が現れたりする現象のこと」
    『うへぇー、そんなのあんのかよ?ということは俺と同類もいるってこと?』
    「知らね。マレビトは人間って聞いたけどな。お前はどちらかというと魔物寄りだろ。そっちは俺も知らねぇ、こういうのは専門分野って聞くぜ」
    そういうと少年はスタコラさっさとその場を立ち去ろうとする。ちょっ、早!俺達が語ったあの熱い友情は何処へ?!
    『まっ、待ってくれ!』
    「ア?」
    少年は男前な顔を男前に歪めると俺を睨むように見下ろす。
    『俺、これからどうしたらわからないし、というかもう何もわからないんだ!しかも全然動けないし!俺はお前がいないと死ぬんだァー!』
    「うわうるせ」
    『頼む頼む頼むゥ!ご飯、はもしかしたらいるかもだけど多分きっと確実に排泄はしないと思いたいからァ!邪魔にならないよう気を付けるから俺を連れてってェー!!』
    「あーもう、うるせぇな。わかった、わかったから。お前、だい、学生…?年は20何だろ?そんな喚くんじゃねぇよ見苦しい」
    『ごべん……でも俺君に見棄てられたら死んじゃうよ…』
    「……わかったって」
    ──そうだ。俺は現状、彼しか頼る人がいないのだ。蟻さんのような誠実な生き物はいるかもしれないが俺は所詮リンゴ。生き物にとっはリンゴ。食べ物なのだ。そんな俺が人間以外の生き物に縋ってみろ。さっきみたいに等価交換で食われる、もしくは問答無用で食われるかもだろ?!それに、どうせ食われるなら俺は──
    「じゃあ、持ち上げるぞ。あー…ユウ?スゥケェ?」
    『何でそんなネイティブなの?呼びづらいならスケはなくていいよ』
    ─俺の話を信じてくれる君になら食べられてもいいと思ったんだ──


    「まただ」
    『ん?』
    少年、名はエドという少年は木で出来た一軒家につくとドアと思わしきものに降れるとそう呟いた。
    『何?』
    「…空き巣だよ。たまにあるんだよ、こういうのは。一応大事なのは鍵付きに閉まってたるけど…それもいずれ…」
    『?ここも鍵付ければいいんじゃないの?』
    「そんなこと出来ねぇんだよな。それは俺の両親は皆死んでっからなんだけどな。聞くか?」
    『はぁ???それ君どうやって今まで生きて…!!』
    「死んだのは数日前だからな。なんとか。でもそろそろ限界かもな…」
    『何で……いや、とりあえずそういうことなら鍵だけは何とかしよう。子供一人じゃ危ないよ。相方はただのリンゴなのに』
    「相方って。それにお前はただのリンゴじゃねえけどな。何か案があるわけ?」
    『……拾ってくれたお礼に、といいたいところだけど、正直勝率は五分五分かな』
    「五分あんなら十分だ。教えろ」
    少年はとりあえず俺を地面に下ろすと、俺はコロコロ転がって体を軽くぶつけた。
    『俺の世界では人避けの紋ってのがあって、強力過ぎるが故に教団内以外では広めるなっていう規則があるほどの紋を試します』
    「おー」
    『ちなみに、紋というからには何かしらかける、もしくは傷をつけられる、まぁ何でもいいけど紋をこのドアに書かなきゃいけないんだけど、俺はリンゴだから無理だ。ごめん』
    「それで勝率は五分?」
    『いや、俺の世界とこの世界が同じなのかわからないから三分に下がったかも』
    「お前、やっぱ捨ててやろうか?……それでも三分もあんのかよ」
    『君が書いてくれれば、多少なりとも効果があるんだよ。後は、教祖様に一番近い血の俺が…』
    「…ユウ?」
    じっと黙ってしまった俺をエドはわざわざ屈んでつついてくれた。その優しさに、俺は嫌がるように左右に揺れると気を取り直してエドに声をかける。
    ──正直、神と思われる存在の言葉が気になる。この紋は信仰心が高ければ高いほど効果を発揮されると記憶しているし、それにもう俺は──
    『エド』
    「んだよ」
    もうこいつのことを、指針──もしくは
    神だと思ってる節がある。
    俺にはもう信仰心はない

    「書けるもの、持ってきたぞ」
    『木の板で何か書いてるみたいだったけど、一応書けるものはあるんだ』
    「こういうのは大方高くて俺じゃ変えねぇんだよ。それに、これは…母の形見だ」
    『?!?!そんな大切なもの使わせられないよ?!別に傷つけるだけでもいいんだよ?これは木で出来てるんだよ』
    「そりじゃあ書き直せねぇだろーが。いあから、早く指示寄越せ」
    『………わかった』
    俺はエドの真剣な瞳をない目で見つめ返すと、まずはエドに円を書くように指示をした。
    この紋は団体のロゴにもなっているものだ。団体は非人道的な事を繰り返してたし、見つからないために人避けの紋をロゴにしたんだろう。それに信仰心が強すぎると強力になるから、このロゴは司祭などの上層部じゃなくて、もっと下の信者達に書かせていた。
    ──円、そして三角次々に指示する俺にエドは詰まることなく書き続けた。母が高いと言われるペンとインクを持っているのだし、粗方お金はあるご婦人だと想像できる。そんな息子の彼もきっと素養は良いのだろう。やがて不気味─と言っても主観的なイメージだが─な紋を書き終えるとエドはリンゴを改めて見下ろし「で?」と続きを促した。
    『俺が唱えて、もし成功したら少しでも光るはず。といっても勝率は十分の三に減っちゃったし、あんまり期待しないで。その時は他の方法を探そう』
    「ただのリンゴがどうすんだって言いたいところだけど、試してみないと始まらないし……それに一人で考えてもわかんねぇし、まぁ助かる」
    『……じゃあ、始めるね』
    エドがドアの前から離れると俺はコロコロと転がってドアに体をぶつけた。そして、どこにいるのかもわからない神様に、いや、隣にいる神様に祈る。
    『天に召します我らが神よ、俺の名前は田中祐輔。どうか俺の祈りを聞き届けてください──』
    ──
    『──いいだろう』
    ──!
    頭の中で別の知らない誰かの声が響く。
    それは男か、女か、機械か、誰なのか──そうしてその不可解な言葉は続ける──
    『また我を起こして──いや、しかし…そうだな…今の貴様は、どうにも』
    ──好ましい

    天気のいいだった。
    神様が来てくれたそう。でも、私は神様が来てくれなくてもいいと思う。村は廃れて、いずれ人が住めなくなるって言うけれど、山を下れば別の集落があって、それに天気が悪ければ翌日には地面が潤う。そうしたら、野菜がよく育つ。地面に埋まる野菜ならどんな天気でも平気だろうし、それに野菜のために家をつくってあげれば素敵じゃない?でもそれは誰にも言わない。だって、この考えは村にはそぐわなくて、異分子だと思われちゃう。
    ─異分子、神様が教えてくれたので。お前はおかしいって。でも、その話をしてくれる神様はいつも優しい顔をしているから、きっと、そういう人が好ましいのだと思う。
    今日も神様のところに行く。山の奥にある祠は村のどんなものよりも綺麗で、そして一番残酷な場所。
    『…また来たのか』
    「あ、ごめんなさい。起こすつもりはなくて……」
    『良い。最近は騒がしくて、どうにも構わん』
    「神様」
    神様は祠の中でそう疲れたように呟くと『さてな人間』と話しかけてくれた。
    「はい」
    『またお前の話を聞かせてくれ。子守唄にでもして寝よう』
    「!聞いてくれるの?私と──くんの話!」
    『あぁ、もちろんだとも。お前のそういうところだけは、』
    好ましく思ってるんだ──

    『──!』
    「お、起きたか?」
    俺は飛び上がろうとして、飛び上がれないことに気づいた。そうだ。飛び上がるための足も、体も、筋肉も、内蔵も、何も俺にはない──
    「大丈夫か?」
    エドの声が聞こえる。そこを目を凝らすように見つめると─と言っても目というものがあるなかは謎だが─そこにはエドがいる。エドは何かの肉と小難しそうな顔で格闘しながら俺に小さな皿を差し出した。
    『…これは?』
    「リンゴが何を得て成長するのかわかんねぇから、とりあえず花や果物を絞って潰して、何とか液状のものにしたやつ」
    『…食べていいの?』
    「食えるかわかんねぇけどな。…とりあえずこの茎みたいなところにかけてみるか?」
    『ごめん、お願いしてもいい?試してみたい』
    「ん」
    少年は立ち上がって慎重に俺の頭部分にその冷たくて甘いものを流し込んで──
    ─甘い?
    『…甘い!』
    「え、食えたのか?うわ、ホントだみるみるうちになくなっていく」
    『すごい、味が感じる!マジでどうなってんだこれ』
    「切ってみるか?」
    『それはやめてください…』
    エドは立ち上がってお皿をどこかに置いてくるとまたコップのようなものに水を入れて持ってきてくださった。
    「あとはまぁ、果物なんて水与えとけば大丈夫だろ」
    『…ありがとう、エド』
    俺が神妙な面持ちで感謝をしていることが声でわかったのかエドは鼻を鳴らすと「気にすんな」と改めて椅子に座った。
    『ここは?』
    「俺ん家。まぁ短くいえばお前が言う紋?はすんげぇ光った。ということは人避け出来るんだろ?これは俺のお礼だ。気にすんな。」
    『ありがとう……それはそれとして一生そばに置いてほしいのですが』
    「わーたってるって。置く置く。まぁ、感謝してるってわけよ。」
    『そっか、じゃあお互いありがとうって思ってるならただの押し問答なっちゃうよな。じゃあこの話は置いておいて、これからどうする?』
    俺がころっと回るとエドは軽く笑って俺の体をつつく。それがどうにもくすぐったいのに、温かくて。されるがままになってしまう。
    「お前の体がどうなってんの調べてやりてぇのは山々だけど、俺は多分ここにはいられない」
    『どういうこと?』
    「俺の両親が死んだってのは、話したろ?で、村中が俺をどうするかどうか話してる。まぁそれはどうでも良いんだ。俺が気にしてるのはただ一つ」
    ──このままじゃあ、俺の父と母の残した遺産が、誰かの物になっちまう。
    『……』
    俺はエドの真剣の顔に、唾を飲み込む。唾があるかは知らないが。
    「だから俺の目標はただ一つ。必要な物を持って、全てを燃やして村を出る。」
    ──手伝ってくれるか?ユウ
    『──もちろんだよ、エド』
    ──俺の神様
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