内側のスケアリー・モンスター.
美しすぎるヴァンパイア。
彼を前にして、その言葉に異論を覚える者は居ないだろう。居る筈がない。敢えて言うならば、寧ろ表現が安過ぎるという事だろうか。それならば一理ある。安易で、安直で、だがそれ故に流布も容易でキャッチー。チープな言葉は間口も広がる。SNSでの浸透を狙うならば適している。ルークとしては、『美しすぎる』という一言だけでは些か物足りないのも事実であるが。
なんとも修飾の簡素過ぎる、単純な言葉だ。
ハロウィンウィークの為に彼の磨いた美は、ルークの目にはそれよりもずっと奥深く見えるというのに。
マジカメモンスターと名付けられた迷惑なゲスト達への対処の下準備として撮影を進める彼と寮生達を眺め、ルークはそれを実感した。
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