「あんたさ、妹から恋愛話持ち込まれたことあるかい?」
「はぁ?」
いつものように作りすぎたぬいぐるみを、ダチの…エメルダの家に設置しに来たら、妙なことを問われた。
思わずぬいぐるみを階段横ホールに設置する手を止めて、彼女を見る。その顔はあまりにも呆れていただろう。
「逆に、ガーネットがアタシにそんな話持ちかけてくると思うのかよ、お前は。」
「……思わないねぇ。」
「じゃあ聞くんじゃねえよ。」
はあ、と一息ため息をついて、また作業に戻る。
その姿を見て、「いや、あのねぇ…」とそのまま話を続けてきたので、まあ仕方なく聞くことにした。
「弟のことなんだけどね、」
「あ〜、エリスか。なんだあいつ、堅物そうだけどそういう話するのか?」
「よくするわけではないんだけどさ。あいつ、もうずっと好きなやつと良くつるんでんだけど、いっこうに素直になれないというか。」
なるほど。バカ真面目だから余計に、相手を思って、自分が傷つくのも恐れて前に行けないタイプか。
「そいつに気があるか分かんねえから尻込みしてんだろ。」
「いや、その相手も確実にエリスのことを好いてんだよねぇ。」
聞けばエメルダは弟に素直になれないと相談をされ続け、またその相手とも知り合いで、エリスが本気になってくれないのだと相談されるのだという。
「お前だいぶめんどくせえことになってね?」
「そう思う。」
「その話をアタシにされても困るんだけどな。つまりは相手はアプローチしてるが、弟はそれが本気だと思っていないと。んで、弟は相手がふざけてると思ってるから、素直な気持ちも言えないと。」
相手は相当チャラついたやつなんじゃねえの?と聞いてみたところ、どうやら以前一緒にレイドに行った機工士のエレゼンがその"相手"らしい。なるほど通りで。
「それはよぉ…機工士もアプローチしてるくせ、どっかで嫌われたくないからふざけてると思わせるような態度してんじゃねえの?しらんけど。」
「まあ、それもあるよねぇ…。」
「どっちしても、相談相手を間違えてるよなぁ。弟も、その機工士も。」
この戦闘狂を疑う光の戦士様に、恋だ愛だのを相談するのはどう考えてもお門違いだ。多分、そういう感情を向けられることはあっても、向けることはそうそうない。
だのにそんな話を持ちかけられてしまうのも、またこの光の戦士の魅力なのか、と笑う。
「私も何回も言ってんだよ?!言われたってアドバイスできないってさぁ!!」
「だよなぁ?お前、どう考えたって恋愛感情と友達感情一緒にするタイプだ。」
否定できない…と顔をくしゃくしゃにするダチが面白すぎて腹が捩れる。
しかたないから、この話もう少し聞いてやるか。