兄さまが貝になった話ある日、兄さまが貝になってしまった。
魔法局の一室、大きな魚も入りそうな水槽の中央でたっぷりの水の中にぽつんといる、手のひらにころんと乗るような大きさの二枚貝。
魔法道具が暴走してこうなりました、なら話は簡単だったろうけど原因は不明らしい。
魔法局で原因を究明している最中なのですが……と申し訳なさそうな顔をした職員さんが説明してくれた。
「魔法道具管理局長が元に戻られるまで、所在はどうされますか?」
こちらに預けられるのであれば貝類の研究を専門としている学者に世話を任せますが、と続ける職員さんへ、僕に世話をさせてください、とすぐに言っていた。
そう言ったものの貝の生態なんて全然知らなかったので大急ぎで図書館から本を借りてきて、何を食べるのか、ということから調べることになった。
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