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    ひすい

    ・mhyk小説。革命組と愛憎、東など。
    ・hsr小説。応楓/刃丹中心、五騎士など。
    +から×まで色々書きますが、こちらは少し際どいかな?と思った時や進捗用です。

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    ひすい

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    メイン展示の現パロ刃丹:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21879322
    から1年前の応楓出合い編……の冒頭です。※本編を読んでなくても問題なく読めます。こんな続きが書けたら良いな〜の進捗。

    応星と景元がお喋り&丹楓が姿形だけでます。

    現パロ応楓1、

    「単刀直入に言おう。きみ、うちのモデルのカメラマンになってくれないか」

     チェーンの喫茶店の席に着いて三分。残暑の厳しさで滲んだ汗も止まりきらないほどの短時間で告げられた言葉に、応星は届いたばかりのアイスコーヒーを迎えようと開いた口を一度閉じた。
     そうして、目の前に座っている柔和で人好きする笑顔を浮かべる男——景元を見つめる。
     あまりにも突然の言葉にその真意を探ろうとしてみるが、芸歴=年齢の実力派俳優だ。顔どころかストローの袋を破る些細な動きまでを余裕のある演技で覆われては、心の内がわかるはずもない。
     結局、応星は二秒で音を上げて「おまえはいつから事務所の営業にまで駆り出されるようになったんだ」と口を開いた。そうすれば、景元はほんの少しだけ純粋な喜びを混ぜて「まさか。毎回やっているわけじゃないよ。まぁ、うちの社長は私が営業に一枚噛むことを望んでいるみたいだけどね」と言いながら、スマホを取り出した。そうして軽くスワイプしてから画面を応星の方へと向け、今回の依頼の詳細を語り出す。
    「今回頼みたいのは『丹楓』というモデルの写真集だ。この業界にいながら芸能人にあまり興味のないきみだって、名前と顔くらいは知っているだろう?」
     そう言いつつ、トントン、と画面を叩く景元に、応星はフレッシュを開けかけていた手を一度止め、画面を覗き込んだ。すると、幾つかの『丹楓』だと思しき人物の写真が表示されている。
     艶やかな黒髪に、真っ白な肌。涼やかな表情に反した強い意志を感じさせる青緑の瞳。
     一目見るだけで強烈な印象を残すその青年のことは、もちろん応星も知っていた。実際に会ったことも仕事をしたこともないが、彼が起用された広告は何種類か覚えている。——人も選べば仕事も選ぶ応星の記憶に残る程度には、『丹楓』は名の売れた存在だ。
    「……それなら、別に俺に頼まなくても、幾らでもカメラマンはいるだろ。この顔形じゃ、自分から志願するやつも多いと思うが」
     女ウケだけじゃなく男ウケもしそうだ、と暗に匂わせながら視線を画面から手元のフレッシュに戻しつつ言えば、景元も「まぁ、そうだね」と特に否定はしなかった。……この男は、まだ青年と呼んでもギリギリ許される年齢の割に、平気で業界の暗部を直視する。その胆力と人間関係のバランス感覚には、彼らが所属するプロダクションの社長が彼を時期社長にと押し上げるのも十分理解できるのだが……同時に、早く大人にならなければならなかったその環境を、少しだけかわいそうだとも応星は思う。……これまでもこれからも言うつもりは一切ないが。
     そんなことを応星が頭の片隅で考えているとは知らず、景元は徐にストローを弄びながら「確かに、丹楓を是非撮りたい、って言ってくれる人は多いんだけどね。社長はきみが良い、って言っているんだ」と話を続ける。
    「なんでだ? 確かに俺は趣味も兼ねて機材は良いのを持ってるが、撮影スタッフは俺だけだ」
     日数はそれなりにかかるぞ、と言えば「そんなの、社長もとっくに知っているよ」と景元は首を竦める。
    「きみが師匠の写真を撮った時だってそうだったじゃないか。……あの時は、きみと師匠がそれどころじゃないくらい揉めたけどさ」
    「あーーあれな……あれは鏡流だって悪いだろ、俺のポーズ指定にケチを付け続けるんだからよ」
    「はは、師匠は逆の事を言っていたな。きみの方が悪いって」
     でも売り上げは良かったじゃないか、と続けながらストローに口を付ける景元に、応星は「まぁな」と言いながらも髪を掻き混ぜた。
    「だが、白珠が撮った時ほどは伸びなかった」
     そう付け加えるように言えば、景元は「それは仕方ないよ」と苦笑した。
    「師匠はあんな穏やかで飾らない顔、白珠くらいにしかしない」
     そこで競ってもきみの完敗だよ、とさらりと言ってくる景元に「わかっている」と言いながらも応星は乱暴にストローを突き刺した。
     応星にカメラを持つきっかけを作ってくれたカメラマン兼探検家の白珠はもちろん恩人だが、それはそれとして、彼女が海外に飛び立っている間の代役として呼ばれるのは、なんだか違う。
     些細なプライドだとか、それだから腕は良いのに個人でやるハメになるんだなんだと言われる原因はこういうところにあるんだと応星自身わかっているのだが……適当に消費するのもされるのも、応星は嫌いだ。
     せっかくこの世に生み出すのだから、作品はしっかり手をかけて心から納得のいくものを作りたいし、この意志を尊重してくれる現場以外では一緒に働きたくもない。
     ……まぁ、応星も良い大人なので、条件を擦り合わせた上で結局仕事をすることもあるのだが……それはそれ、これはこれだ。気持ちの上では、尊重しない相手と一緒に仕事をしたくはない。

     その点確かに景元たちの会社は応星の意図を理解して動いてくれるから撮影もしやすいのだが……
     応星が仕事を受ける条件は、環境だけではないのだ。
     最悪環境なんてどうでも良い、と思えるほど、もっと重要な要素がある。それは——

    「きみが懸念しているのは、丹楓を見て『写真を撮りたい』と思うかどうか、だろう?」
     
     まるで応星の心の内を読んだかのようなそのものずばりな発言に、応星は顔を上げた視線で問えば、景元は「きみとももうそれなりの付き合いだからね、きみの心情は理解しているよ」と肩を竦めた。
     そうして、応星が何か言おうと口を開くよりも先に「でもね」と声を上げる。

    「丹楓に関して言えば、きみの心配は杞憂に終わると私は思うんだ」
     
     それくらい、生で見る丹楓はホンモノだからね、と。
     そう余裕たっぷりに微笑んで、景元は「急な呼び出しに来れたんだ、どうせ暇だろう?」と口を開いた。
    「それなら、これから一緒に彼の現場を見に行かないかい?」
     きみがその目で仕事を受けるかどうかを決めるためにもさ、と応星に有無を言わせぬままにそう告げる景元に、応星は確かにこれは俳優より営業向きかもしれない、と思いながらも頷いたのだった。



    ◇◇◇



     都内某所。スタジオにて。
     白い背景をバックに撮影をされているその人物を初めて肉眼で見た時、応星は思わず目を見開いた。
     女優はテレビで見るよりも街中で見た方が綺麗だ、とは一般的によく言われるが、あれは本当だったんだと応星は業界十年目にして初めて思った。
     無修正であそこまで肌も髪も綺麗なのか、とか。
     レンズを通すことで美しさが減る人間もいるのか、とか。
     心に湧き上がる感動のままに丹楓という被写体を見つめて入り口で立ち止まっていると、隣で景元が小さく笑った。
    「……いや、なに。着いてきて後悔した、と言われることはなさそうで良かったと思ってね」
     悪戯っぽくそう言ったかと思うと、景元は「もう少し近くに行こう」と声をかけてズカズカとスタジオ内に入っていく。
     普段その態度を傲慢だと貶される応星でさえも一瞬反応が遅れるその動きに圧倒されながらも静かに着いていけば、景元はカメラマンの隣で椅子に腰掛けている中年の男に近づいて行った。そうしてにこやかな笑顔で挨拶をして、世間話を始める。……どうやら、昔の顔馴染みらしい。
     子役出身の顔の広さを改めて感じながら、応星はカメラから二歩ほど下がった、被写体から見ればちょうど影になっている位置で足を止めた。
     そのまま、先ほどよりはっきり見えるようになった丹楓を見る。
     欧州の王侯貴族が着ていたようなタイトなボトムスとシルエットの大きなフリルたっぷりのブラウス……という、世の中の九割九分九厘は顔が負けそうな華やかな衣装は、けれど丹楓にはとてもよく似合っていた。
     髪とボトムスが黒、ブラウスが白、という色合いのコントラストもそうだが、何より唸らされるのはそのシルエットだった。
     タイトさによって強調されたすらりと長い脚はそれだけで見ても美しいが、その細さがボリュームのあるブラウスの中に隠された身体の線を自然と想像させ。そこに絹のような髪がさらりと垂れるのだから、もはや教科書に載る彫像のような美しさだ。
    (……広告で見る顔が悉く無表情な理由がわかったな)
     心の中でそう呟いて、応星は息を吐いた。
     ここまでの美形だと、撮影だとわかっていても優しく微笑まれるだけで撮影する側の魂が抜かれるだろう。
     無表情の今でさえ、時折りスタッフ側から感嘆の吐息が漏れているのに。



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    応星と景元がお喋り&丹楓が姿形だけでます。
    現パロ応楓1、

    「単刀直入に言おう。きみ、うちのモデルのカメラマンになってくれないか」

     チェーンの喫茶店の席に着いて三分。残暑の厳しさで滲んだ汗も止まりきらないほどの短時間で告げられた言葉に、応星は届いたばかりのアイスコーヒーを迎えようと開いた口を一度閉じた。
     そうして、目の前に座っている柔和で人好きする笑顔を浮かべる男——景元を見つめる。
     あまりにも突然の言葉にその真意を探ろうとしてみるが、芸歴=年齢の実力派俳優だ。顔どころかストローの袋を破る些細な動きまでを余裕のある演技で覆われては、心の内がわかるはずもない。
     結局、応星は二秒で音を上げて「おまえはいつから事務所の営業にまで駆り出されるようになったんだ」と口を開いた。そうすれば、景元はほんの少しだけ純粋な喜びを混ぜて「まさか。毎回やっているわけじゃないよ。まぁ、うちの社長は私が営業に一枚噛むことを望んでいるみたいだけどね」と言いながら、スマホを取り出した。そうして軽くスワイプしてから画面を応星の方へと向け、今回の依頼の詳細を語り出す。
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