フォルカー【聖夜】 ツリーにリース、今年はどこからか〝電飾〟なんて物まで持ち込まれ、クリスマス・イブの方舟はこれでもかとばかりに飾り立てられていた。クリスマスという慣習に馴染みはなかったが、二回目となると楽しみ方も分かってきたものだ。
ジェイクは心ゆくまで仲間たちと酒を楽しんだあと、視界をゆらゆらと揺らしながら自室へと向かっていた。
「さすがに飲みすぎたか」
先程から真っ直ぐ歩いているつもりが、どうやらそうでもないらしい。手すりや壁に頼りたくとも、ここぞとばかりに飾られた装飾品を壊すわけにもいかないのでどうにか自力で進むほかない。一緒にグラスを傾けていたフォルカーは食堂を離脱することすら難しいようだったので、今頃テーブルに突っ伏して寝息を立てているだろう。
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