瞳に映るはソファに座る彼女はソワソワと落ち着かない様子だ。
「あの、お手伝いを……!」
「いい。座ってろ」
向こうから待っているのが申し訳なさそうな顔で立ち上がろうとするのを制し、コンロに火を点ける。
徐々に急かすような音が聞こえ始めた。
けたたましい音が鳴り、用意していた急須と湯呑にゆっくりお湯を注ぎ少し冷めるのを待つ。
今日は9月最終日。
殆ど出払っている寮内にはいつもの賑やかさがない。
夏の暑さもだいぶ鳴りを潜め日差しも和らいできた。
ぼんやりそんな事を思いながら冷蔵庫へ。
昨夜忙しい同級生に教わり作ったものを皿へ乗せ黒文字を添える。
湯呑のお湯もいい頃合だ。
急須のお湯を捨て茶葉を入れ、湯呑のお湯をゆっくり注ぐ。
2分半待ち丁寧に注げば玉露の完成だ。
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