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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    初書

    君に伝えたい君にその言葉を伝える事が出来たら、
    どんなに幸せで嬉しいのだろう。



    「おかえり」

    陽も落ちて辺りは暗い。
    寮のあちこちに灯りが灯る。

    任務が終わって寮に戻れば。
    薄暗い寮の入り口で待ち構えていた唯を見つけて、隠した口元に思わず笑みが溢れた。

    「明太子」

    ただいま、と告げる。

    彼女の口からは白い息が見える。
    黒の制服にコートを身に付けて。
    微笑むその顔に、手を伸ばしてその頬に触れると、とても冷たくて。棘は思わず目を見開いた。


    …なんで。


    小柄な棘よりもひと回り程小さなその身体。
    ぎゅっと包み込むように抱き寄せる。


    …いつからここに居たんだろう。


    しなやかな細身のその身体はやはり冷たい。
    その首筋に棘がそっと顔を埋めた。


    「…なに?どうしたの?」


    困ったように、けれど唯は棘の背中に手を回す。

    棘はそのまま、ぎゅっと瞳を閉じた。
    久しぶりの彼女の匂いに、胸が温かくなる。
    何だかほっとしたような気持ちになる。


    棘は口を開いて、



    でも、その言葉を飲み込んだ。





    君にその言葉を伝える事が出来たら、
    どんなに幸せで嬉しいのだろう。





    いつもの語彙を絞ったその言葉でも、たぶん唯は不自由なく意図を汲んでくれる。


    でも。


    自身の口元のチャックを下ろす。
    ちゅっと音を立てて唯の首元に軽く吸い付いた。舌先を這わせると、びくりと彼女の身体が跳ね上がる。

    「ん…っ、なっ…何するの、急に…っ」

    唯は棘の背中に回していた手を離して身動ぐ。咄嗟に棘の胸に手を当てて、離れようと力を込めたが、拘束されたままびくともしない。
    棘の両腕にも、唯を離すまいと力が篭る。


    もう一度、柔らかな唯の首筋に噛み付いて、棘はゆっくりと顔を上げた。
    彼女を抱き寄せて、逃げられないように背中に手を置いたままその顔を覗き込む。

    「…な、に?今日の棘、なんか変だよ?」

    変、と言う訳でもない。
    いつも通りだ。
    いつも通り、唯を独占したくて。

    真っ赤な顔をして少し潤んだ瞳で棘を見る唯と、目が合った。

    愛おしい。
    その、全てが。


    片方の手で、唯の頭にそっと触れて。優しく撫でるように髪をすく。

    棘が口を開いた。
    ゆっくりと唇を動かす。



    “ す き ”



    色のない言葉で、告げる。

    動かない…否、動けない唯の耳元に顔を近づけて、もう一度唇を動かす。その耳に、触れるか触れないかの距離。


    “ す き ”





    棘はまだ何も言えず、動けずにいる唯を解放する。口元のチャックを上げて、悪戯に笑って見せた。





    君に、その言葉を。

    ただ伝えたかっただけ。






    End***






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