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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    内通者説

    おいていかないで⚠️狗巻棘の内通者説です。
     苦手な方は自衛して下さい。
    ⚠️加虐表現、流血表現がありますので
     自己責任でお願いします。

     狗巻家捏造してます。

    なんでも許せる方のみご覧下さい。







    ----------





    神も仏もいない世界で、
    そこにあるのはただ『呪い』だけ。



    痛む身体を壁に預けて、少年は目を閉じた。
    瞼に映るのは、真っ暗なこの世界の不条理。

    口を開くがもう何の言葉も、紡ぐ呪いも出てこない。


    ーーお前なんて産まれてこなければ。


    何度も何度も聞いて、聞き飽きたはずのその言葉に胸が鈍く重くなっていく。
    口元にはその呪印を隠すように布が巻かれ、名ばかりの札が施されている。剥ぐ事は容易に出来るが、もうそれはしないと決めていた。


    きっとこれは、罰。
    口を開けば不用意に人を呪ってしまう。

    自分は罰を与えられているんだと。



    学校と言う場所に行かなくなって、どのくらいが過ぎただろう。
    小さな窓がひとつある暗い部屋。重たい扉。
    三食決まった時間に奉公人が食事だけを運び、誰かの足音に毎日怯えてただ生きていた。
    何もせず、ただ息を殺して。
    うずくまる。

    時折来る見知った顔は、必ずその言葉を少年に掛けた。


    ーーお前なんて産まれてこなければ。



    口の端から血の味がした。
    殴られた頬が痛む。
    身体が、痛む。


    その心はもう、何も感じない。






    遠くで音がした。
    大きな爆発音。

    少年はぼんやりと目を開ける。

    自分には関係のない、『世界』ーー…


    爆発音から幾分も経たない内に、扉の向こう側から足音が聞こえて顔を上げる。
    身体が強張った。うずくまってぎゅっと膝を抱きしめる。


    怖い。
    人に会うのが、怖い。




    扉が開く。重たい音を立ててゆっくりと。
    微かな光が少年に届いた。

    「…わ。…本当にいた」

    袈裟を着たその人は、怖いくらいの笑顔で笑った。

    嗤った。


    「そんな無意味なお札、とってしまえばいいのに」

    大きなその人の手がゆっくりと伸びる。
    反射的に身体に力が入り、ぎゅっと目を瞑った。一瞬大きな手の動きが止まるが、すぐにそれは少年の頭に触れて、口元に巻かれた布が静かに床に落ちる。

    「大丈夫。もうここには、君に嫌な事をするヤツはいないよ」

    少年が見上げれば、彼はただ笑っていた。
    逆光になってはっきりとは見えない顔。でも確かに、嗤っている。

    「君、名前は?」

    聞かれて目を見開く。
    どう答えて良いのかわからなくて。
    僅かに口を開くが、音を出す事を躊躇わずにはいられなかった。

    「まぁ、気が向いたら教えて」

    ふっと、笑って彼は踵を返す。
    袈裟が揺れて、彼はそのまま一歩を踏み出した。
    離れて行く背中に。

    思わず、手を伸ばす。

    「……ま、……って…」

    行かないで。


    言い掛けて瞬間、喉に大きな痛みが走った。

    「……ゲホッ!…ッ?!」

    喉がヒリヒリして、口の中には血の味が広がり、床に鮮血が溢れ落ちる。
    少年は口元を抑えた。ぬるりとした生温かい赤い感触。

    「私に呪言は効かないよ。気を付けてね」

    立ち止まったその人は、変わらない表情のまま振り返って、僅かに眉をひそめた。
    少年の瞳が大きく揺れる。


    この人はきっと、神でも仏でもない。


    赤く染まった手を、伸ばす。
    袈裟の端を小さな手が懸命に掴んだ。

    「……い、」

    真っ直ぐにその人を見る。
    痛む喉に顔が歪んだ。

    「…い、ぬま…き、…とげ…」

    また喉から血が流れた。次から次へと溢れて止まらない。呼吸が苦しくて肩で息をする。ゲホゲホと、血痰が絡んだ咳が止まらなくて両手で口を抑えた。

    小さな身体に向き直り、彼は笑った。

    「…狗巻棘くん、だね」

    棘は頷く。

    「一緒に来るかい?」

    彼は棘に手を差し出す。
    棘はその手を拒む事は出来なかった。



    この人はきっと、神でも仏でもない。
    それはただの『呪い』。



    その手はとても大きくて、冷たい。









    End***







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