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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    meepoJlo

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    かわいいね私の彼氏は控えめに言ってかわいい。


    隣の席を見れば、机に突っ伏して瞳を閉じている。少しだけ顔がこちらを向いていた。
    微かに寝息が聞こえて規則的に上下する肩。ネッグウォーマーがほんの少しズレて、普段は隠れている呪印が頭だけ顔を出している。
    昨日も遅くまで起きていたんだろうか。早く寝ればいいのに。

    昼食の後、棘は欠伸をひとつ。机に伏せて明太子と一言、目を閉じてしまった。パンダと真希は気にする様子もなく昼練に行くと、1年を誘いに教室を出た。放置した所で問題はないだろうが、唯は棘とふたりで教室に残る。

    温かい日差しの中、教室に入り込む木漏れ日が揺れていた。
    壁に掛かった時計を見れば、昼休憩は後20分程で終わる時間。

    「…………」

    唯は静かにその手を伸ばした。
    ネッグウォーマーにそっと触れて引っ張り、口元を隠す。その指が、棘の毛先に微かに触れた。
    指先にくすぐったい感触。棘の顔に触れないように指を動かしてみれば、綺麗で真っ直ぐな彼の髪は唯の指をすり抜けてサラサラと落ちていった。

    ーー髪伸びたなぁ。
    去年は虎杖くんみたいにツンツンしてたのに。

    思い出してふと、笑顔が溢れた。
    そのまま頭に触れてみる。撫でた髪は柔らかな感触が気持ちいい。微かにシャンプーの香りがした。

    唯は棘の顔を覗くが、変わりなく瞳を閉じている。油断しすぎかとも思うけれど。
    もう一度時計を確認してから、棘の髪をひとふさ手にしてみた。それを3つに分けて毛束を編む。4目程ゆるく三つ編みにして手を止めた。頑張って引っ張ってもこれで限界かな。
    唯は自分の机に掛かった鞄に手を伸ばし、化粧ポーチを取り出して膝に乗せた。片手で探り、ピンを取り出す。淡い色の星が1つ付いた可愛いピン。

    「……うん。かわいい」

    三つ編みを固定して止めると少し浮くけど、編み込みのようで可愛い。何の達成感かわからないけれど、唯は頷く。

    と、瞬間視線が交わった気がした。

    「おかかー」

    はたと気付けば、紫色の瞳がこちらを見ていた。少しだけ動く頭に、棘の髪が揺れる。

    ーー否、起きない方が不自然か。

    「ぉ…、おはよう」
    「…明太子」

    ジト目でこちらを見る棘は、その手を伸ばして唯の腕を掴んだ。

    「ツナ?」

    身体を起こして唯を見る。握った手の反対側で三つ編みに触れた。その指がピンで止まる。

    「かわいい」
    「ツナ」

    目元しか見えないけれど、ふくれっ面で少しムッとした顔。

    「おかか…」

    「…おかか、なの?」

    「おかか」

    こういう時。
    さらりとノッてくれて、何ならピースして写真も撮らせてくれそうなのに。

    棘は片手で星を引っ張る。簡単に付けてあっただけなのでピンはすぐに取れた。編んだ髪も跡も残らず解けて行く。手にした淡い色の星を見る棘。

    「…可愛いかったのに」

    言われて棘の目線は唯に向かった。元々釣り目がちな瞳が細くなり、無表情に唯を見る。
    ピンを唯の机に置いて、立ち上がった。

    「…おかかー」

    小さく呟いて、棘はネックウォーマーのチャックに手を掛ける。チャックが開かれて露わになった口元は、静かに噤んだままで。ーー怒ってるのか何かの冗談なのかは唯にもわからない。
    掴まれたの棘の腕に力が入る。

    真っ直ぐに唯を見下ろす棘の瞳から、目を逸らす事が出来なくて。唯は頭上にあるその綺麗な顔を見上げた。少しずつ、ゆっくりと近付く紫の瞳に、唯は思わずぎゅっと目を閉じる。

    唇が軽く触れる、柔らかい感触があった。
    すぐに離れて行ったかと思えば、棘は唯の頬に手を添えた。瞑っていた目を開くと、棘の親指が優しく唯の唇をなぞる。少しかさついた男性の指。

    「…怒ってる?」
    「おかか」

    珍しく開いたままのネックウォーマーからは、やっぱり不機嫌そうな声が聞こえる。でも答えはおかか。

    「ちょっと怒ってる?」

    「…………」


    無言で添えられた手は唯の背に回り。近付くその唇は、噛み付くように唯の唇を奪う。

    「………っ、ん…」

    舌先が口内に侵入して。ぬるりとしたその感触に、背筋が仰反る。
    急に息も出来なくなる感覚に逃げ出したくて、棘の制服を握って暴れてみるが、全く動く気配もなく、支えられた背中のせいで後ろにも下がれない。

    「……ん…、ゃ…っ、」

    ぎゅっと制服を握って微かに俯くと、やっと離れて行った彼の舌先は、名残惜しそうに糸を引く。
    少しだけ目を細めた深い色の瞳は、唯を捉えたままで。真っ直ぐに見つめられれば、それが何だかとても恥ずかしく思えた。
    肩で息をしながら真っ赤になる顔を隠して唯はそのまま俯いた。

    「高菜」

    言って覗き込む棘の顔は、そんな唯に何処か勝ち誇ったように、口角を上げている。
    いつの間にか離れていた手は、もう一度唯の頬に触れた。滑り落ちるようにひと撫でした大きなその手は唯の顎を掴んで持ち上げる。無理矢理に唯の顔は頭上にある棘に向いた。優しく笑う彼はいない。
    心臓がどくどくと煩くなる。もう何度目かのキスなのに。

    その顔は確かに、可愛くはない。

    「おかか」

    「…可愛いは、ダメなんだ…?」

    「明太子」

    そこはしゃけじゃないんだ。でも、棘は小さく視線を逸らして頷いた。

    いや…。やっぱり可愛いけど。

    「カッコイイ棘も、好きだよ」

    笑って見せると、逸らされたままの視線も微かに笑う。

    「しゃけ」



    人の足音が微かにあって、静かな廊下に響いた。気配は次第に近付き、同級生たちの声が聞こえる。

    棘は教室のドアを見てから、不意にまたチャックの開いたままの口元を唯の顔に近付ける。

    「……棘?」

    棘の唇が軽く唯の頬に触れた。ちゅ、と普段は気にならないリップ音がやたらと大きく耳に響いた気がして。
    唯の心臓が大きく跳ねた。聞こえた耳元から顔が熱くなる。

    棘はネックウォーマーのチャックを閉めた。タイミング良く同級生たちが室内に入って来る。
    それに真っ赤になって頬を抑える唯。

    「……何してたんだ、お前らは」

    呆れる真希とパンダ。

    「ツナ」

    何食わぬ顔で声を上げる棘。

    「明太子ー」

    「気を使えー、じゃないだろ。結構長くふたりきりにしたぞ?もう昼休憩終わるし」

    パンダに軽口を叩きながらも目線は唯に向けたまま、その手は唯の髪に優しく触れる。
    耳まで赤くして俯く唯の髪を掻き分けてまとめ、机にあった淡い色の星形のピンを、唯の髪に飾って器用さを見せた。


    「ツナマヨ」













    End***












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