焼け跡に芽吹く「なあ、俺が東上のことが好きで、できれば抱かれたいって思ってるって言ったら、どう思うんだ?」
「一回くらい俺と寝てくれ、って思う」
恋愛相談をする相手を間違えた、と俺は溜息を吐いた。日が沈んでから空襲警報が鳴り出すまでの時間にしか色恋の話など出来ないのだから、もっと親身に話を聞いてくれそうな相手を探すべきだったのだろうと分かっていた。だが、年上の男相手に抱いている気持ちを否定されるのが嫌で、男好きで有名な年上の男になんて聞いてしまった。まさか自分がこうしてからかいの対象になるとは夢にも思っていなかったが。
「冗談、流石にお前に手を出したら東上にも伊勢崎にも殺される。全く、修身の授業を真に受けてるようなやつのお世話は面倒くせえ。誰が道徳的になんて生きてやるかよ。……あ、ビール取ってきてくれ、そこにあるだろ」
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