愛の一枚「ユーリス、良い下着屋を知らないか。紐みたいなのが売ってる店がいいんだけど、なかなか見つからなくて」
「……いきなり何を言い出すのかね、この大司教様は……」
ベレトが至極真面目な顔でそんなことを言い出すのだから、ユーリスは乾いた笑いを零すことしか出来なかった。
ユーリスは現在、ガルグ=マクに残ってベレトの補佐役として働いている。大司教としての公務の補佐がセテス、日常生活の補佐がツィリル、表立っては対処できないような問題の解決をはじめとしたその他諸々の雑事の補佐がユーリス……そんな感じだ。そしてその雑事には、こうして大司教の気晴らしの為に共にお茶会の時間を過ごすことも含まれていた。
「今年からツィリルは士官学校にも在籍しているから、あまりお茶会に付き合ってくれないんだ。他の生徒達はぴしりと固まって楽しそうではないから誘いづらいし……昔レアが寂しそうにしていた理由がよくわかったよ」
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