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    kow_7726

    @kow_7726

    忘羨、曦澄に日々救われる。

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    kow_7726

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    下戸藍湛×バーテン魏嬰。
    〜三本の薔薇の花束編〜

    ノンアルコール・モヒート!(18) 藍湛がスーツに着替えて、一緒に家を出た。駅まで送ると言ったのに、結局店に送り届けられてしまった。
    「また後で」
     そう言った藍湛に、俺は笑顔を向けて「待ってる」と伝えてオープン業務に入った。五時にオープンしてすぐ、昨日泣いてた女子大生が飛び込んできた。お気に入りの席に座り、お気に入りのカクテルを飲みながら彼氏の惚気を話してくれる。
    「それで、マスターは?」
     普通、昨日の今日で進展なんてないと思う。いや、あったんだけど。のらりくらり躱していたら、続けて常連が二人か入店した。
     重ねてカクテルを作っていたら、扉がまた開きそちらに笑顔を向ける。
    「いらっしゃ………ぃ…」
     そして俺は固まった。
     最後まで、どうにか言えた俺を誰か褒めて欲しい。
     店に来たのは藍湛だった。それはいい。しっかりスーツを着ている。スーツに疎い俺でもわかる、かなり上等な…それも別に構わない。休みに何を着ようが自由だからな。しかし、その手に持った薔薇の花束は何だ…?他にも何か箱を持っている。
     緊張した面持ちで、此方に向かってくるんだけど。え、何、どういう事…?
     ぽかんとしてしまい、カクテルを作る手も止まってしまう。
    「魏………マスター」
     名を呼ぼうとして、思い留まったらしい。気遣ってくれたのだろうか。カウンター越しで正面に立ち、一瞬目線を泳がせる。深呼吸して、しっかりと真剣な眼差しでを合わせ俺に花束を差し出してきた。
    「君を愛している。私と共に歩んで欲しい」
     そう言って脇に抱えていた箱をも差し出してきた。常連客三人の目が痛い。特に女子大生、視線がうるさい。
    「……藍湛…」
     やばい。何だこれ、プロポーズされてるのか…。何だかちょっと混乱してる。けど、ざわざわと全身が熱くなり耳元で鼓動が脈打つのがわかる。
    「……嫌なら、これを突き返して。無礼でなければ…受け取って欲しい」
     そう言ってカウンターに差し出された薔薇の花束と、ひとつの箱。丁寧に包装されたそれは、何かわからず目線で開封の是非問い、やはり視線で了承を得てから開封する。
    「これは………」
     ポートワイン。
     しかも最上級のヴィンテージ・ポートだ。
     基本的に男性から女性に愛の言葉を伝える時に使うものだ。『無礼』というのは、きっと性別の問題だろう。
     藍湛なりに、考えてくれた…調べてくれた結果なのだろうと思うと胸と目頭がが熱くなる。大きく息を吸い込んでゆっくり吐き出し気持ちを落ち着かせた。
     答えなんて決まってる。
    「藍湛、これで俺に注文してよ」
     驚きに目を見開かれる。藍湛にとって想定外の答えだったようだ。
    「マスター、これで一杯作って欲しい」
     藍湛の注文を受け、ヴィンテージ・ポートの箱を開ける。栓を開けたら、極上の芳醇な香りがした。しかし俺は、緊張で手が震えないようにするのが精一杯だ。
     初めて、カクテルを作った時みたいだ。
     ミキシンググラスにブランデー、ドライベルモットと開封したばかりのポートワインをそれぞれ注ぎ、バー・スプーンで軽くかき混ぜる。カクテルグラスにストレーナーをかぶせて静かにミキシンググラスから移動させる。
     『モンタナ』だ。意味は『優しく愛して』という。臆病な俺を、優しく包み込んで愛して欲しいという願いからだった。
     藍湛の前にコースターを置いて、グラスを出す。
    「お待たせ致しました、モンタナです」
     笑みを浮かべながら小首を傾げると、藍湛は目を瞬かせた。
     常連客が見守る中、俺達は二人だけの世界に浸る。
    「私は……」
    「…なぁ、藍湛。そうやって俺にご馳走してよ、常連さんがたまにしてくれるみたいに。これからこの店に藍湛のボトルとしてリザーブする。だから、たまに注文してご馳走して。そうだなぁ…例えばうちに泊まりに来られる日の合図とかにしてみるか?なんてな」
     藍湛は静かに聞き、言葉の意味を考えているようだ。
    「君を、優しく…愛すると。約束する」
     今度は俺が驚きに目を見開いた。…意味を知ってた?
    「それ……」
     藍湛は僅かに照れ臭そうに目を細める。カクテルグラスに注がれたモンタナを見て口を開いた。
    「ポートワインを調べた時、知った」
     俺は思わずカウンターを飛び出し、藍湛に飛び付くように抱きついた。飲めない癖に、俺の世界を知ろうとしてくれた事が嬉しかった。
    「ヒュー!」
    「おめでとう、マスター!」
     思わず振り返り、常連客の存在を思い出す。俺は照れ臭さと祝ってくれる喜びに、へらりと笑って軽く手を振る。女子大生なんて、泣いてるし。
    「魏嬰」
     耳元で名を呼ばれ、振り返ると幸せそうな眼差しとかち合った。満面の笑みで頬に口付ければ、再び三人の常連客から歓声が上がる。
    「藍湛、いっぱいに幸せにしてやるから覚悟しろよ」
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    🌸忘羨二次創作垢🌸

    MOURNING今日も家訓をやぶって藍忘機に口づけをしている場所を発見してしまった藍啓仁。当初は同様で血を吐くほどだったが、もう見慣れて今はため息しか出ない。刹那、今は亡き江楓眠の言葉を思い出す。魏無羨はそういう人間なのだと。そんなことは藍啓仁には関係がない事だ。今日も彼は彼の正義のために説教をする――――――――。
    かわいい子には旅をさせろかわいい子には旅をさせろ。若い頃、国外から来た客人にそんなことわざがあると教わった。
    弟子は皆可愛く思う。その中でも、藍忘機には才能を感じ、早くから様々な夜狩に向かわせた。

    その結果、どうなったか。

    丹精込めて育て上げ、特に気に入っていた弟子は得たいの知れない人間なのか魔なのかよくわからない奴に惑わされてしまった。未だに二人の仲をよくは思っていない。いつか藍忘機が魏無羨に飽きてくれればいいのにとさえ思っている。

    しかしそんな日は来ないだろう事はわかっていた。
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