ぼくの手に余るもの 花火大会の余韻残る、高揚感漂う浜辺で――
人影もまばらになった頃、メイン会場より少し外れた防風林の樹の下、密やかに絡み合うよう深く口づけを交わす男女の姿があった。
黒い浴衣の肩へ添えられた白い手。
濃藍に白く浮かび上がる首筋。着衣の裾から白い脚が覗くと、掴み、持ち上げるよう撫で上げる手の平。
――衝撃で変な声が出てしまった
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最近、気になって仕方がない小波先輩が、よりにもよってナスのおかずを僕のカップ麺へ入れた。夏休み前の昼休みのことだ。ナスも先輩も大いに否定してしまった。少し子供じみてたと羞恥も感じたけれど、そこは譲れなかった。先輩は呆れながらも、僕の隣で昼食をとっている。二人でいると、サーフィンの話をよくしている気がする。というより僕のことばかり尋ねる。そういう人だった。
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