わかってないなぁ。 セナが海外に拠点を置いてから、何年か経ったある日、ついにイタリアで一番有名といわれる雑誌の表紙を飾ることができたのだ。その電話を受けていた時も、フィレンツェの家でおれは隣で聞いていた。いつもは当然でしょ? という顔をするだけだったセナも、さすがに感情を抑えられなくなったのかおれに抱きついてきた時には驚いたけれど、お互い嬉し涙を流しながら抱擁しあった。
「れおくん、俺……俺……」
「セナ! やったな! おれも自分のことのように嬉しいぞ~!」
「うん……れおくんも仕事いっぱい紹介してくれてありがとう……ここまでこれたのはれおくんのおかげだよ」
「いや~。おれはきっかけをあげただけ。結果がついてきたのはセナが頑張ったからに決まってるだろ!」
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