沈むトワイライトスカイ#889cba
すれ違い斎綱
ナチュラル同棲現パロ
仕事が忙しくて残業続きの綱
なかなか2人の時間が取れなくて見えないところで心が荒んでいくはじめ
そんなところで少しギスギスした空気になってしまった日、連絡をくれた綱が珍しく早く帰ってきた
(なんだよ帰って来れんじゃん⋯)と思いつつも自分も八つ当たりみたいなことして少しバツが悪く後ろめたい気持ちからちょっと素っ気ない態度を取ってしまう
綱も言葉少なに着替えてシャワーを浴びてくる。
綱の入浴中に作ってあったご飯を温めたりしながら(いや、流石に大人気ない⋯ちゃんと謝ろう⋯ご飯久しぶりに一緒に食べれるんだし⋯)とか色々考えてたら脱衣所から何かが転がるような大きな音が響いた
脱衣所を見に行くと風呂場から体半分出して倒れている綱、何とか肘を付いて身体を支えてはいたが震えている
綱さん?!
体は濡れたままの綱を抱えると意識はあるようだが反応が鈍い
み、ず⋯
わ、わかった
キッチンに水取りにいって飲ませる
意外とちゃんと飲めてる
よこに、なりたい
支えることで使い果たしのか、その後ほとんど力は入ってないのでバスタオルで身体を包んでベットに寝かす
髪はとりあえずタオルドライして様子を見る
頭は打ってない?
ない、
そっかァ
目に見えて安心すると綱と目線が合う
なんだか風呂上がりにしては吐息が熱くてき瞳も潤んでる気がする⋯
そう思いつつも裸のままでは風邪をひいてしまうと思い脱衣所まで服を取りに立とうとしたところ綱に服の端を弱く掴まれる
服取りに⋯(遮られる)
昨日は⋯悪かった⋯体力が、戻りきらなくて⋯余裕がなかった⋯
潤んだ瞳からポロと一つだけ涙を零してポソポソと話す綱に本当に大人気ないことをしたと後悔するはじめ
僕の方こそ⋯八つ当たりみたいに、ガキみたいなこと言ってすみません、風邪ひいちゃうから、服取ってきたらまた話そう?
と綱が頷いたのを確認し、服を掴んだ暖かい手を握って一度離す
戻ってきて綱に服を着させているところで違和感に気付く
(シャワー入ったにしては体温高くないか?)パンツ履かせたりシャツ着させてりしてる所で疑問に思う
(え?てかさっき昨日体力戻らないって)
寝せたまま服を着させ終わり、ドライヤーもかけ終わってはじめ確信に至る
綱さん熱ない?
⋯体調がすぐれなくて、かえってきた
おいおい!
(先に言ってよ!!)
はじめ体温計を差し込んで検温すると体温39.5℃をしめす
(いくら風呂上がりとはいえこれは⋯)
こんな具合悪くなるまで頑張って⋯
心配するよ⋯もっと自分のことも大事にして⋯綱さん
うん⋯
おでこにおでこくっつけるはじめ
(やっぱりあっついな⋯)
そのまま離れようとすると綱の腕が緩慢に背に回される
つなさん?
キスしたい⋯
面食らったように静止したはじめ
理性によって抑えられていた綱の純粋な部分に触れたような気がしてじんわりと胸に温かい気持ちが広がる
⋯いいよ
優しく啄むようにはじめが口付けると僅かな隙間も埋めるように力無いながらも自分から唇を合わせにいく綱
胸が締め付けられるような庇護欲に駆られて遠慮がちに唇を舐め取ると教え込んだ合図に薄く口を開けて舌を出す綱
ゆっくりと差し込み合わされる舌の温度に一瞬舌を引っ込みそうになった
(口の中あっつ)
辛くない?
ない、もっと⋯
合わせた舌を綱から押し返したりする程の力はほぼないが、されるもの全てをそのまま受け入れる綱
緩く吸ったり甘噛みすると息継ぎの合間合間に漏れ出る熱い吐息と震える体
それに理性を集結させて何とか手は出さないよう耐えるはじめ
熱のせいか首に回っていた綱の手がゆるゆると落ちてくる
最後口の端にリップ音鳴らして口を離す
続きは元気になってからね
⋯
ぽーっとはじめに目線だけ送る綱、熱のせいも相まって瞳はいつも以上に潤み頬は紅色しているのが非常に目の毒だった
お粥作ってくるから、それ食べれそう?気持ち悪くない?
⋯少しなら
分かった待ってて⋯
髪の毛梳くように撫でて一旦綱を置いて部屋を出る
お盆にお粥と水晶鶏、水持って戻ってくる
枕とクッションを背中に入れて体勢を起こして綱にご飯食べてもらう
動きはゆっくりながらも箸(まぁレンゲなんだけど)は進んでる様子にほっとするはじめ
綱、久しぶりに出来たての温かいはじめのご飯食べたらなんか安心して涙がポロポロ零れてくる
っ?!どーしたの?
目元親指で拭ってあげる
⋯はじめの、ご飯があたたかくて⋯、久しぶりで⋯
そのまま食べながら泣いてる
綱としてもはじめと一緒に食事を取れないことを少なからずストレスに感じていたかのような言動に今すぐ抱きしめたい衝動に駆られたが食事中のため何とか耐えたはじめ
落ち着くまで背中撫ででやることで誤魔化すことにした
元気になったらまた一緒に同じご飯食べよう
うん⋯
食欲は意外とあったようでしっかりと完食して、水分も一緒に出した鎮痛剤で全て飲んだ
これだけ食べられたら一旦大丈夫だろうと踏む
今日は一旦市販の解熱剤飲んだから、明日まだ熱あるならちゃんと病院行きましょう
うん⋯
段々ととろとろと意識が落ちそうな綱だが口だけ濯がせるために洗面所まで連れてって再び布団まで連れていく
じゃぁおやすみ綱さん
おでこにちゅうして離れようとした時、ふと服につっぱりを感じた
(なんかデジャブだな)
綱の方を振り返ると
いって、しまうのか?
と綱
いてほしい?
(頷く)
調子悪いところほんとに申し訳ないけどめっちゃかわいいんだけど⋯
すぐに綱の隣に体を横たえて頭撫でたりしていると再びトロトロとまぶたが落ちてきて五分ほどで寝入る
久しぶりに見る寝顔がいつもの何倍も幼く見えてしまい、そっと起こさないように1度だけ腕の中にしまい込んで寝室を後にした
中途半端に放置された夕食が残ったキッチンに戻る
昨日と同じく温め直し口に入れたそれは昨日までのものより何倍も美味しく感じた
着地点
翌朝(2人とも休日)綱昨日より熱は下がるもまだ微熱気味
綱の身動ぎで目を開けるはじめ
⋯おはよう、体調どう?
だいぶ楽になった、と思う、自宅で療養していればいずれ戻りそうだ
そっかぁ⋯良かった
そっと綱の手を握るとまだ普段よりはいささか温かいものの昨日ほどの熱さはなかったので胸を撫で下ろす
ご飯作るから待ってて
もう少しだけ一緒に⋯
はぁ、もうなんでそんなにかわいいの⋯
ぎゅっと抱きしめる
抱きしめ返す綱
終わり