プラネタリウム 全てはほんの思いつきで、深い意味などなかった。大学のサークル仲間が、連休に山へ行ったのだと自慢げに星空の写真を見せてきたのを、へえーそーなの、なんて話半分で聞いていて、その日の帰り道にコンビニで、最近寄らなくなった雑誌コーナーに置いてあった科学雑誌が目にとまって、先程までの話題もあってかなんとなく好奇心が湧いて。気がつけばアパートの部屋に、手作りの満天の星空を広げていた。
四畳半の格安賃貸も、厚手のカーテンをきっちり引いて蛍光灯を消してしまえば、色あせた壁紙の汚れもけばだち気味の畳も消えて、星々と自分だけになった。かなり狭いがプラネタリウムの完成だ。
(つくりものとはいえ、星なんて眺めたのいつぶりだろ)
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