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    lemolemo3_

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    不夜天後、藍湛が姑蘇に帰らずにずっと夷陵老祖のそばにいつづけたif話の続き、というより書きたかったシーンをちょっとだけ。

    夜の痕間違いを犯したのはいつだったか。
    酒だったか、気の迷いだったか。ふと触れた唇に、身体のうちから熱い、溶岩のような感情が溢れ出してきて、止まれなくなった。夜。そしてその夜明け。
    互いに何事もなかったかのように振る舞おうとして、落ちる静寂に耐えきれずあることないこと喋ったあの時の焦りを、今もまだ忘れることはできない。
    本当は、どれだけ近しい男友達といえどこんなことはしない。一線を踏み越えてしまったのは、お前だったからだ。後ろめたさも、隠したいものもある中でそんな厚顔なことは言えなくて、誤魔化すしかなかった。

    一度きり。気の迷いだった。そう結論づけようとして、二度、三度と繰り返されたそれに早い内に降伏した。
    静寂が落ちるたびに、間違いを犯してしまう。
    だって、この壊れかけの身体を繋ぐには男の陽の気が必要だから。こんなことを続けていれば、この玲瓏な男も嫌気がさして去ってくれるかもしれないから。
    用意していた言い訳を全部絡めとっていってしまう。やさしさに見せかけたそれは、真綿のように魏無羨の首を絞めているのだと、この男は知っているのだろうか。

    藍湛が俺を嫌いになってしまえばいい。軽薄なこの行為にはもう付き合いきれないと、俺を見捨てて藍家に戻って欲しい。そうだ、ずっと魏無羨はそう望んでいた。男が己を見捨てて、独りになることを。絶望に喘いで、命を絶つことも許してくれない優しすぎる男から解放されることを。

    それでも流されることを望んだのは、そんな理由ではなくて、結局その甘やかな熱に毒されてしまったからだった。
    嫌いになってほしいと願いながら、その熱い瞳で俺を貫いてほしいと望んでしまう。甘くて苦しい感情が、空っぽになった身体に流れ込むのが、心地よかった。
    矛盾ばかりだ。もうずっと。藍忘機に嫌いになってもらうためというのも、もしかしたら言い訳だったのかもしれない。

    熱が、冷えた身体を侵食する。普段は小さくしか鳴らない鼓動が、どくどくと激しく生を伝えて、与えられる熱にほろほろと涙が出てくる。
    手放したくないと望んでしまう。
    こんな筈じゃなかった。こんな風に藍湛を傷付けるつもりはなかった。どこで間違えたのだろう。何故、すがってしまったのだろう。

    藍忘機の気持ちに見てみないふりをした。それを直視してしまったら、もう戻れなくなると知っていたから。こんな清冽な男に、罪ばかり犯させて、何を今更と、己の中で皮肉が囁く。
    罪を犯してほしくはないのに、魏無羨の為に罪を背負う藍忘機の思いに安堵した。醜い己。お前はなんで俺のことが好きなの。その気持ちを聞くことを拒んだのは自分だから、尋ねられなかった。もう、ずっと。
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