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    ぽえうぉ

    @pewq315

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    ぽえうぉ

    DONE一度離れてもう一度出会う2人の話。
    カモメたち 「ごめん」と言う。
    「今日で多分、最後だから、」
     言いかけて、少し遠い目を、お前はする。



     日々の記録をどこぞに書き残したとして、それでそいつが一体お前の何になる。この毎日はただ惰性に満ちて退屈で、俺とお前の生活の倦怠は同じ鍵盤を一定のリズムで叩くように単調だ。感情を、できる限り骨から削ぎ落として今日までを生きてきた。味のない、砂のように渇いた血を吐いて、俺たちの人生はただの消耗戦でしかないという現実の水槽に、指の隙間を零れる生命の塵を泳がせる以外に出来ることが他に何かあったのか? 俺は、なんの嫌味でもなくお前にそう問いたい。
     自らの命さえ壊れもののように扱うことが出来なかったお前が、今になってどうしてそんなに必死になっているのかが、俺には分からない。どうしてお前が「今日」という日をここに留めようとするのかが、その理由が分からない。俺たちの生活には、もはや当然のようにあらゆる形容詞を伴えぬ虚ろの糸が張り巡らされていて、その網の目から外の世界を覗くことこそが、俺たちの生活の常であり全てだった。俺たちには未来永劫手に入れられないあの日常の景色が、まさしく俺たちの知らない色彩で描かれていることを思い知る度、お前は「まるで映画を観ているみたいだ」そう言って、誰かの大事なものを壊してしまって途方に暮れている子供のように、ひどく寂しい目をしたじゃないか。
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